CDPlayer

針音のない衝撃。80年代、世界を塗り替えた「CDプレーヤー」のデジタル革命

 1982年10月1日、音楽の歴史が塗り替えられました。それまで「盤に針を落とす」という物理的な接触が当たり前だった世界に、レーザー光で情報を読み取る「コンパクトディスク(CD)」が登場したのです。
 このページは、オーディオ界の「デジタル革命」の幕開けとなった、80年代CDプレーヤーの熱狂的な歴史とその魅力についてはじめていきます。

 CDプレーヤー第一世代は、1982年に登場したソニー「CDP-101」に代表され、デジタル高音質とレーザー読み取り方式を採用しているのが最大の特徴です。当時としては高額で、アナログレコードにないクリアな音質が特徴でしたが、操作性や一部機能は現在の製品に劣り、リモコンは別売りが一般的でした。
第一世代 第1世代は「未来への招待状」

 1982年10月1日、日本で世界初となるCDプレーヤーが発売され、そこから翌年にかけて17ものメーカーがCDプレーヤを発表しました。私が所有する各メーカーのCDプレーヤー第1号機をまとめてみました。
 第1世代モデルに共通する「先進性と苦労」
これらの第1世代には、現代のプレーヤーにはない共通の魅力があります。
 アナログ回路の巨大さ: 当時はまだデジタル回路を小型化できなかったため、内部は基板でギッシリでした。特にアナログ出力段(音を整える部分)には、熟練のエンジニアが耳で調整した贅沢なパーツが並んでいました。
 「エラー訂正」への執念: 「デジタルは音飛びしない」という公約を守るため、ピックアップや制御回路には現代の安価なプレーヤーより遥かに精密な部品が使われていました。
 過剰なまでの高級感: 「16万円」という価格(当時の大卒初任給に近い)を納得させるため、スイッチの押し心地からパネルの仕上げに至るまで、工芸品のような造り込みがなされていました。

PIONEER  「P-D1」 — レーザーディスクの先駆者が放つこだわり
デザイン:オーディオらしい直線的でアルミパネルに深く刻まれたヘアライン加工は、光の角度によってその表情を静かに変え、所有する悦びを日々更新してくれます。
デジタル機器でありながら、最終的な音の出口であるアナログ回路を極めて重視している点がパイオニア流です。

Pioneerが発売したCDプレヤーの1号機

修理編

再修理

オーディオにはあまりなじみのないNEC製のコンパクトディスクプレーヤー

YAMAHAのCDプレヤーの初号機

日立 Lo-D 「DAD-1000」 — 垂直の美学
デザイン: 最大の特徴は「垂直ローディング」。カセットデッキのようにディスクを縦にセットし、回転する様子を正面から見ることができました。
視覚的演出: くるくると回る銀色の円盤が見えるその姿は、「光で音楽を再生している」という実感を強烈に与えました。この方式は、初期のヤマハやケンウッド、デノンなど多くのメーカーにOEM供給されました。

第1世代のCDプレーヤーに多かった垂直ローディングタイプ。

修理編

Aurex(現東芝)のCDプレヤー初号機

XR-Z90とは姉妹機。

Technics(Panasonic)のCDPlayer1号機 

Marabtz「CD-63」 — 弧を描く、音楽の記憶。スイングアームの魅力
デザイン: トレイ式ではなく、上部の蓋が開く「トップローディング方式」を採用。小型でメカニカルな外観は、今なお「最も美しい初期型」と称賛されます。
伝説のメカ: 「スイングアーム(CDM-0)」を初搭載。これによって、デジタルの正確さと、アナログ的な厚みを両立した独特の音楽性が生まれました。
贅沢な設計: デジタルデータをアナログに戻すチップ(DAC)を左右独立で2個使うなど、当時の最高級パーツを惜しみなく投入していました。

アナログ機をも意識したマランツのCDプレーヤーの初号機

マランツ CD-63のディスクの読み込みエラーの改善

SONY 「CDP-101」 — すべての始まり
1982年10月1日、世界で最初に発売されたCDプレーヤーです。
デザイン: コンポサイズではなく、あえて少しコンパクトな筐体でした。これは「新しい時代のメディア」であることを視覚的に印象付けるためでした。
革新性: 今では当たり前の水平トレイ方式を世界で初めて採用。ディスクをトレイに乗せて吸い込まれる動きは、当時の人々には魔法のように見えました。
性能: リモコンが標準装備されており、「好きな曲に一瞬で飛べる」というデジタルならではの利便性を世に知らしめました。音質は非常にクリアで、まさに「デジタルの衝撃」を体現した一台です。

当時はめずらしかったフロントローディング式を採用

トレイの不具合

Lo-D(日立)と共同開発したDENONの初号機第。DACも日立製のHA16633Pが 採用されている。

修理編

吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

質の高いデザインと低音の表現力がいい初号機(CD-1)の改良型 

ジャンク購入

ジャンク購入編

Sonyの2世代目にあたるプレーヤー

CDP-501ESとCDP101

Lo-D(日立)の2世代目のプレーヤー

P-D1のデザインから一新してオーソドックスな水平ローディング方式を作用

ピックアップ洗浄と半田付け

 デジタルオーディオの黎明期である1982年から83年にかけて登場した「第1~2世代」のCDプレーヤー。それは、現代の効率化された製品とは対照的な、すさまじいほどのの熱量とコスト度外視の物量が注ぎ込まれた特別な存在です。

「未知の音」を形にするための過剰な物量投入
 第1世代のプレーヤーを手に取ると、まずその重さに驚かされます。
 妥協なきパーツ選び: デジタルをアナログに変換する技術が未完成だった当時、ノイズを力技で抑え込むために、巨大な電源トランスや高級なコンデンサーがこれでもかと詰め込まれていました。
 工芸品のような内部構造: 現代のように1枚のチップですべてを処理できず、基板が何層にも重なり、配線が美しく這わされていました。その密度は、まさに「精密機械の極致」です。(特にNECのCD-803は配線の塊でした)
「物理的な快感」を追求したギミックの宝庫
 ディスクを読み取って音を出すという一連の動作が、一つの豪華な儀式として設計されていました。
 多彩なローディング方式: *垂直にディスクが立つ「垂直ローディング(日立など)」やフ蓋が大胆に開く「トップローディング(フィリップス/マランツ)」、巨大なトレイがせり出す「水平トレイ(ソニー)」
 五感に訴える操作感: 重厚なアルミ削り出しのボタン、滑らかに動くトレイ、そしてディスクが回転を始める際の「シュイーン」という駆動音。すべてが、これから音楽を聴くという高揚感を演出してくれました。「アナログの延長」にある唯一無二の音色
 第1世代の音は、決して「冷たいデジタル」ではありませんでした。エンジニアの耳による調律: デジタルフィルターの技術が発展途上だったため、最終的な音作りはアナログ回路での「調整」に頼っていました。その結果、厚みのある、どっしりとしたアナログ的な温もりが宿りました。

 

ジャケットサイズのコンパクトCDプレーヤー1号機

CDP-553ES(Sony)1985年

スリムなデザインのESシリーズのCDPlayer

DAS-703ES (Sony) 1985年

32~48kHzのマルチサンプリング周波数対応型のDAC

CDP-555ES(Sony)1986年
PD-3000(Pioneer) 1987年

パイオニアが物量を投入したCDプレヤー

3極真空管を出力に採用したCDPlayer

ジャンク扱いでリモコンとマニュアル付き

80年代後半のSonyのESシリーズの中級機

CDP-XA5ES (SONY) 1994年

光学系固定方式メカニズムを採用したESシリーズのCDプレイヤー

DV-S9 (PIONNER) 1997年

DV-S9 (PIONNER) 1997年

DV-AX10 (PIONNER) 2000年

高音質192kHz24bitマルチビットオーディオDAC搭載のプレーヤー

CD、SA-CD、DSD音源を再生できるマルチプレヤー