PD-3000 (PIONNER) 1987年
パイオニアが物量を投入したCDプレヤー。
前回紹介したLD-S1、X1と同様なコンセプトで作成されたCDプレヤー。
このデバイスは前々回から紹介しているLD-S1やLD-X1と同時期に発売され、デザインコンセプトも漆黒うるし調
の仕上げのEXシリーズとして登場したものです。
パイオニアが音、そして再生時の不要振動を徹底的に抑えるためにパックアップベース、シャーシー全体に銅メッキ処理を行うなど物量を投与したデバイス。
仕組み的には18ビット4倍オーバーサンプリングデジタルフィルターを搭載しており、サンプリング周波数を演算処理して4倍にオーバーサンプリングとD/A変換部にはリアル18ビットツインD/Aコンバーターなど当時としてはハイスペックでした。デジタル処理では現在のHi-bit処理のデバイスと比較することは無理がありますが。 内部はアナログ部の電解コンデンサーは銅テープで巻かれているなどかなり拘った内部。
筐体自体はかなり重量(12.5kg)があります。フロントパネルは意外とスイッチ系が多く配置されています。LD-X1のようなシンプルのほうが良いような気がしますが操作性は悪くなりません。
パネル自体は漆調の仕上げで現在のピアノブラック調とは光沢が違いします。
インシュレーターも振動対策として振動減衰特性率の高い大型インシュレーターを採用していて、以前紹介したSCD-XE800(sony 2010年)のプラスチック製とは違いが大きい。
電源部は背部に突き出したデジタル用とアナログ用の大型のトランスが目を引きます。
背部です。RCA1系統とデジタル(同軸、光出力)2系統。
自分の部屋に持ち込んでみました。
接続用のアンプはSONYのSTR-DN850です。普段はプロジェクター(EPSON EH-TW6600W)やPC(EndeavorMR8400)、BDP-S5000ES、 TV Stick、EchoShow5などと接続しているAV用のでデジタルアンプです。接続されているBDP-S5000ESやEcho Show5からAmazonMUSICのストリーミング(HD)と聞き比べてみました。
ソースは谷村新司アルバムからSTANDARD ~best value selection~(2017)。
PD-3000は低音域が特徴がよく厚い音を再生してくれます。現在の機器のようなHi-bit再生能は持ち合わせていませんが重厚な音質で音源にもよりますが聴きやすい音質です。
BDP-S5000ESはBDプレヤーですが普段はCDプレヤーとしても使用しています。SONY製のプレーヤーは大分性質が異なります。高音域までしっかりと再生され、解像度の高いクリアの音質です。
もう1台がbang&olufsenのbeo sound 3200。このプレーヤーは少し毛色が違い。音質がそれほどチューニングされていなくナチュラルな感じのものです。
最後にストリーミング再生。AmazonMUSICのHD音源をEcho Show5からBluetooth経由での再生です。普段はそれほど気になりませんがCDプレヤーで再生した後に聴くと情報量や再現性の違いを感じさせられます。
本体スペックは
3ビーム半導体レーザー方式
D/A変換フォーマット:16bit直線
デジタル演算出力:18bit
D/A変換:18bit
周波数特性(EIAJ):2Hz~20kHz ±0.3dB
SN比(EIAJ) 115dB以上
ダイナミックレンジ(EIAJ) 100dB以上
チャンネルセパレーション(EIAJ) 109dB以上
ワウ・フラッター(EIAJ) 測定限界(±0.001%W.PEAK)以下
全高調波歪率(EIAJ) 0.0014%以下
出力電圧(EIAJ) 2V ±0.5V
デジタル出力:同軸出力:0.5Vp-p/75Ω 光出力:-15dBm~-20dBm(波長660nm)
消費電力:26W
外形寸法:幅458x高さ129x奥行435mm
重量 12.5kg
本機は当時のパイオニアがアナログ部、デジタル部はもちろんのことフレームや個々の部品にまで音質追求のために物量を投与し、特にフレームや振動特性に優れたインシュレーターなど振動対策にも徹底した音作りは再現性を大きく高めていました。現在はこの価格帯でこのような作りの国産CDプレヤーは存在しなくアナログ的な音質をもつ逸品です。
コメント
いつも楽しく拝見しています。
トーホグのパイオニア残党、構造解析2です。
LD-S1、X1とくれば次は天下の迷機、LD-W1と思っていました。
当時の音楽、映像市場は実に夢がありましたね。
LD-W1、お持ちでなければお譲りします。興味があればメールを下さい。
LD-W1ですか。2枚4面連続再生となかなか考えつかないコンセプトだったのを当時覚えています。このような構造はかなり複雑で現存するデバイスも少ないと思います。一度は味わってみたいものです。
80〜90年代前半はレーザーディスクやビデオテープが映画、音楽ソースの中心でした。現在のようなどこともなく流れてくる多くの配信ではなく、自分が気に入ったものをゆっくり楽しむことができた良い時代でした。