エプソンが描いた「電子の紙とペン」。手書き入力が可能なペン型ワードプロセッサWordBank Pen

1980年代後半、世の中は「これからはキーボードを使わない時代が来る」というペン入力への期待に沸いていました。WordBank penは、エプソンのワープロ技術と、当時最新のペンインターフェイスを融合させた意欲的なモデルです。ペン型のワープロというコンセプトは面白く、実際の印刷もペンで線をなぞるようなイメージでした。

この時代はまだPCによる本格的にワードープロセッサは非常に高価でワープロ専用機が文書作成の主流でした。本機の特徴は手書き文字認識機能でした。液晶画面に専用ペンで手書き(入力)すると内蔵の辞書から単漢字変換(連文節は不可)して文章作成が可能でした。

当然のことながら長文作成は難しく(表示エリア)、短文(単語)印刷がメインだったと記憶しています。

本体上部にある液晶部に専用ペンでなぞることで漢字入力ができました。久しぶりに起動させましたが液晶部の劣化なのか漢字を認識してくれませんでした。

中央には入力時に必要なキーが配置されていました。書体変更、記号、サイズ(8倍)などのキーが配置されています。

その下には小型のインクリボンが装着され、下部はプリンターのヘッド部がありなぞる(手動)ことで印刷ができました。

内部です。液晶部(ユニット部)と電源(単4、4本)、インクリボンとプリンターのヘッド部の構成となっています。

専用ペンとトレース用の物差しです。手動で印刷するのでこの物差を使わないと印刷がズレてしまいます。

当時のこのデバイスを買った理由はビデオテープのラベル印刷が目的でした。現在のようなテプラがない時代にビデオラベルに印刷をしたいが為だけに買った記憶があります。

80年代では現在のようなデジタル映像の概念はまったくなく、ビデオレンタル店でレンタルしたビデオをダビングしこのワープロで印刷したビデオテープライブラリーが年を取っても見ることを夢描いていました。

しかし30年後の未来(現在)では見たい映画はネットで配信(購入)でき、また必要な映像(映画)はNASに保存されているためテープを置いておく(ライブラリー化にしておく)必要がまったくなくなってしまい実家の片隅で眠っています。

WordBank penは、現在のiPad + Apple Pencilの概念を、30年以上前にワープロ専用機の文脈で実現しようとしたデバイスでした。
キーボードから解放され、ペンで直感的に思考を書き留める。そのコンセプトは、後に登場する「Apple Newton」や、現在のタブレット市場へと繋がる重要なミッシングリンクとなりました。
【追加】
マニュアルが出てきました。
漢字変換はかなり特殊で””コツ”がいる感じです。

