SCD-XA333ES

オーディオ機器

SCD-XA333ES (Sony) 2001年  

オープン価格110,000円

高度なD/Aコンバーターと高音質なマルチチャネンル再生を普及させたSONYのミドルクラスのCDプレーヤー 

本機は新開発の「スーパーオーディオD/Aコンバーター(SA DAC)」を搭載したESシリーズの普及機  
SACD機としては1999年に発売されたSCD-1(SONY)が1世代とすると以前紹介したDVP-S900S(SONY:2000年)が2世代目で本機は3世代にあたるSACD。 
専用機として購入したのは本機が初でした。新たに開発されたD/Aコンバーターを採用を採用、このDACが面白い設計で、DSDフィルターとCD用デジタルフィルター、新方式マルチレベルD/Aコンバーターを1チップに統合したデバイスです。マルチレベルD/Aコンバーターは1チャンネルあたり67個の1ビットD/Aコンバーターで構成され、個々の出力を合成することで総合的な出力を得る方式です。さらに同じ出力レベルを得る際にも、動作させるコンバーターの組み合わせを毎回ランダムに変えることで、特定の組み合わせが固定されることで生じる歪みの偏りを平準化しています。この方式では個々のコンバーターに超高速動作を要求しないため、デジタルノイズの発生が抑えられ、アナログ回路への影響が少ないという利点もあります。
D/Aコンバーターには、スーパーオーディオCD用のDSDフィルター、CD用デジタルフィルター、駆動する電流源の個数でアナログレベルを表現するマルチレベル方式のD/Aコンバーターが統合されているなど高音質なマルチチャンネル再生専用機として期待して購入した一台でした。 


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外観

外観はESシリーズだけあってフロントパネルには肉厚なアルミ押し出し材が惜しみなく使われており、金属特有の高い質感と剛性感が所有欲を満たしてくれます。 
操作系は、複雑なマルチチャンネル設定機能を持ちながらも、直感的で整理されたレイアウトになっています。 
ディスプレイ部は各種情報が整理されソニーの特徴でもあるミュージックカレンダーもあり使い勝手は良好でした。 
表示部は視認性の高いFL(蛍光表示管)ディスプレイが配置されソニーの特徴でもあるミュージックカレンダーもあり使い勝手は良好です。  
フロントパネル右側に配置されたAMS(Automatic Music Sensor)ジョグダイヤルはソニー製CD/SACDプレーヤーの大きな特徴とも言えるロータリー式のダイヤルです。指先でカチカチと回すことで、膨大な情報量を持つSACDのトラックを素早く、かつ直感的にスキップできる、非常に手馴染みの良いインターフェースです。 
操作系のボタンは正面右にレイアウトされ、シンプルで大型のキーは使いやすい。は再生・停止などの基本ボタンに加え、「SACDとCDの切り替え」や「マルチチャンネルと2chの切り替え」ボタンが、デザインのノイズにならないようスッキリとまとめられています。 



構造

333シリーズとは言え、内部はギッシリと詰まっています。 
トレイ部は若干厚めですが樹脂製トレイ。(ここら辺はコストダウンの影響) 
振動を制する物理構造でBP(ベース・プレート)シャーシの採用で底板に厚みのある強固な金属プレートを採用し、重心を下げることで本体の不要な共振を抑え込んでいます。 
また、本体を支えるインシュレーターのビス穴を、あえて中心(センター)からずらして(オフセットして)配置する偏心インシュレーターにより外部からの振動がインシュレーターを伝わってシャーシに到達した際、振動の波が互いに打ち消し合うように物理的な計算がなされています。 
電源部にもコストがかけられツインRコアトランス電源はデジタルノイズが音声信号に悪影響を及ぼすこ
を徹底的に排除しています。 
これはSACDプレーヤーの内部では、モーターを回す制御系、デジタル信号を処理するデジタル系、そして最終的に音を出力するアナログ系の回路が混在しています。これらを同じ電源で駆動すると、デジタル回路で発生した高周波ノイズが電源を伝わってデリケートなアナログ音声回路に混入(干渉)し、音の透明感を損なってしまいます。ちなみにRコアトランスとは、鉄芯に切れ目がなく円形(ドーナツ状)に近い形状をしたトランスで、一般的なトランスに比べて磁束の漏れ(漏洩磁束)や振動が極めて少ないというオーディオに最適な特性を持っています。本機ではRコアトランスを「オーディオ回路用」と「デジタル・制御回路用」に完全に分けて2基(ツイン)搭載しています。写真下側がデジタル用で上がアナログ用です。電源の入り口からデジタルとアナログを分離するという、高級セパレートアンプのような設計です。 
ここから電源レギュラー部です。かなりの電解コンデンサーです。ここも上部がアナログ系、下部がデジタル系に分かれています。 
この部分はアナログ系と思われます。かなりのコンデンサ数で2000年代のプレヤーにしてはかなり物量を投入しているのがわかります。 
背部、デジタル光/同軸、アナログ端子、そしてマルチチャンネル出力(アナログ) 


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ローディング不良 ベルト交換

本機も購入から20年以上経過していますが特に大きなトラブルはなく動いています。
しかしながら最近ディスクトレイの収納時にしっかりと締まらずディスクのTOC(Table Of Contents)のリードインが始まらずフロントベゼルを押し込むとやっと読み込む状態でした。 
おそら、ゴムベルトの経年劣化で引き込みが弱くなっているためでゴムベルトを交換してみました。交換ベルトはφ(直径)35mm×t(厚さ)1.6mmです。 
まずは天板を外して行きます。 
次にフロントベゼルを外します。 
本体は裏返して電源を入れ、トレイを出し手前2つのネジを外して行きます。 7762
これでフロントベゼルが外れます。 
電源を入れて、トレイを元に戻します。  

ドライブ上部基板(システム処理基板)の上部コネクターを外します。  

ドライブを固定してあるネジ4カ所を外します。  

コントロール系の基板が外れたのでドライブカバーを外します。  
ドライブユニットが見えてきます。固定してある2つのネジを外します。 
ドライブユニットが抽出されました。 

次にドライブのクランパー(留め具)のネジ2本を外します。  


ドライブユニットの基板部。 (底部)
手前のツマミを回すとトラバース(光ピックアップレンズをディスクの内周から外周へと移動させる駆動機構)を下げます。 
トレイが手前に引き出せます。ゴムベルトも確認することができます。  

フロントトレイの金具を外します。 

両側のシャフトを外して行きます。 
これでトレイが外れるのでギアを外してベルトを交換します。  

左のベルト(元)が伸びているのがわかります。 

あとは元に戻す作業です。 
ついでにピックアップ部です。メカ部(KHM-230AAA)です。 このユニットは今でもAmazonで購入できます。
この心臓部のピックアップは1レンズ2レーザーピックアップでSACD用とCD用、波長の異なる2つのレーザーを1つのレンズにまとめ、読み取りメカニズムそのものの軽量化と安定化を図っています。 
(この方式はDVP-S7000から採用された方法ですが、2つのレーザーのいずれかがダメになるリスクもあります。ちなみに我が家のDVP-S7000はDVD側のレーザーがダメです)



CD,SACD再生

本機の最大の特徴は従来のCD(PCM方式)と次世代のSACD(DSD方式)という、全く異なる2つのデジタルフォーマットに対して、どちらも妥協のない高音質を引き出すよう設計されている点にあります。
私は専門家ではありませんので個人的な感想になります。

CD再生における音質(PCM方式) 
音質的にはソニーっぽい若干固めで中高音域がはっきり表現されている感じで、言い換えると骨太で輪郭のくっきりした、エネルギッシュなサウンド。
この時期のESシリーズ全般に言えますが高い解像度と分離感を感じさせられます。CD規格の限られた情報量から高い解像度と楽器一つ一つの音が混ざり合うことなく、それぞれの輪郭をくっきりと描き出します。

SACD再生における音質(DSD方式) 
CD再生の硬い音質からアナログレコードのような滑らかさと、圧倒的な空間の広がりを感じます。デジタルの硬さが消え、極めて自然で有機的なサウンドへと変化します。これは1世代目のSACD機DV-AX10(PIONEER:1999年)と同じようなCD特有の音の角(トゲトゲしさ)が取れ、アナログレコードプレーヤーで聴いているかのような、耳に刺さらない温かみと滑らかさがあります。 

本体スペック

スーパーオーディオCD再生時
再生周波数範囲:2Hz~100kHz
周波数特性:2Hz~50kHz(-3dB)
ダイナミックレンジ:108dB以上 106dB 104dB
全高調波ひずみ率 0.0012%以下 0.0015% 0.0018%
ワウ・フラッタ:測定限界(±0.001%W-Peak)以下
CD再生時
周波数特性:2Hz~20kHz(JEITA)
ダイナミックレンジ: 100dB以上 100dB 99dB
全高調波ひずみ率: 0.0017%以下 0.0018% 0.002%
ワウ・フラッタ: 測定限界(±0.001%W-Peak)以下
チャンネル数: 5.1ch/2chステレオ
デジタル出力: 光/同軸(ともにCD再生時のみ)
アナログ出力: マルチチャンネル(5.1ch)
アンバランス(ステレオ2ch、RCA)
出力レベル デジタル(光):-18dBm(固定)
デジタル(同軸):0.5Vp-p(固定) -
アナログ(アンバランス):2Vrms(固定)
ヘッドホン:10mW(32Ω負荷)
外形寸法:430×380×130mm
質量:約9.5kg

当時のSONYは本機も含めMD,AVアンプなどデザインの統一性が取れていて非常い質感が良かった。  

本機は下位機ではありましたがシャーシ・電源部の物量は上位機(SCD-XA777ES)と同じ構成であり、SACD黎明期にソニーが本気で投入した、電源2トランス・9.5kg級の物量型ES機。数値スペックも高く、マルチチャンネル機能も作り込まれている本格的なデバイスで価格の割には物量投与が半端ないので今でもお勧めの1台です。 

SACD機として最初に購入したDVP-S9000ESはステレオのみでしたがそれが本機からはマルチチャンネルサラウンド再生に対応しSACDのマルチチャンネル再生は再生領域が広がり従来のCD2チャンネル再生とはまた違った音を聞かせてくれた一台でした。 

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