ポケットワードPW-1000 (CASIO) 1988年
「書く」マシン。超小型のワードプロセッサ。PW-1000が切り拓いたモバイル・ライティングの原点
80年代のOA機器の覇者ワードプロセッサ。現在の文書作成はWord(Microsoft)が主流で日本語変換も精度の高い連文節変換が当たり前となっていますが80年代のPCではなかなか難しく日本語文章作成には専用端末(ワープロ)が主流でした。
この文書作成をポケットに入るサイズで具現化したデバイスがありました。それが、1987年にカシオ計算機から発売されたポケットワード PW-1000でした。
この文書作成をポケットに入るサイズで具現化したデバイスがありました。それが、1987年にカシオ計算機から発売されたポケットワード PW-1000でした。

私も大学時代に日々のレポートに家から持ってきたPC-98VM+一太郎Ver3.0から使い始めましたが実用性では専用機には及ばす、結局EPON社のWordBank(LX、Note)を主に使っていました。その後一太郎もVer4.0で大分使えるように日本語文章もPCに移行していきました。

このPW-1000は発売と同時に購入したわけではなく、電子手帳 DK-2000と同時に購入した記憶があります。本機はCASIOが外でも手軽に使用できる超小型のパーソナルワープロでした。今見るとよくこのサイズ(185(W)×83(D)×25(H)mm 319g)にQWERTYキーボードを入れたと感心させられます。

久しぶりに持ち出してきました。当然ながら電源入れても起動しません。当時のままなので電池が入っていて腐食していなければ起動する可能性もありました。

背部です。4カ所のネジを取り外していきます。

内部です。シートのシミが気になりますが電池からは液漏れはしていない様子。電池はCR-203を3つ交換です。基盤部は一応接点賦活剤を噴霧しておきます。

電池交換後にスイッチを入れると起動しました。メニューが立ち上がるわけでもないシンプルな画面です。

見開きタイプ(クラムシェル型)を採用しており、閉じれば大型の手帳サイズ。開けば上部に液晶、下部にキーボードという、現在のノートPCの雛形とも言えるスタイルが姿を現します。
正面左、今見ると厚みを感じますが当時としてはかなり頑張ったと思います。
正面左、今見ると厚みを感じますが当時としてはかなり頑張ったと思います。

メモリスロットがありメモリカードがあったはずですが見当たらず。
液晶部はテキスト12×3(16ドット)で3行表示ですがワープロ機能選択では2行しか使用できない不思議な仕様。住所録等は可。当時のモノクロ液晶としてはコントラストが高く、視認性は良いほうでした。

キーボードはピッチが11×9.4mmで打感はありますが両手では難しい。物理的な制約がある中で、日本語入力を追求したキーレイアウト。

レイアウト上仕方ないですがカーソルが上部にあり文字の移動には使い勝手が悪いです。

機能としてはワープロ、住所録、スケジュール、電卓機能がありファンクションキーで切替が行えました。

ローマ字入力は行えますが連文節変換は難しいようで基本は単文節変換です。また変換レンスポンスはそれほど良くない。

当時のカシオ製品らしい、質実剛健なプラスチックボディ。ボタン一つ一つのクリック感は、誤入力を防ぐための適度な重みがあります。

ヒンジ部はCASIO独特の仕様。無段階に調整できますが慣れが必要でした。


数年後に登場したOASYS Pocket(初代)や当時外でよく使っていたWordBank Noteと並べてみました。WordBank NoteもA4サイズなのでバックに入って持ち運びが容易でしたがPW-1000のサイスの小ささが判るかと思います。

サイズ的にはOASYSのほうがひとまわり大きい感じです。ワープロ機能としての性能はOASYSが格段に上でした。

PW-1000が「手帳の延長線」を目指したのに対し、オアシスポケットは「フルスペック・ワープロの凝縮」を目指しました。

デバイス的なスペックは厳しいですが当時としてはワープロ機能をこのサイズに凝縮した技術は素晴らしいものでした。液晶の解像度とCPUとRAMの性能が向上しればニーズはあったと思いますが本機は後続機がなく、この1代限りで終わってしまったのが残念です。

CASIO PW-1000は、誰でもすぐに使いこなせる「究極のデジタル手帳」として、モビリティを追求しました。一方、OASYS Pocketは、プロの執筆環境をそのまま掌に収めるという、ある種の執念が生んだ「最小のプロ用ツール」でした。
この2機種の競い合いがあったからこそ、後の「ポメラ」のようなテキスト入力専用機が生まれる土壌が作られたと言えるでしょう。


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