デジタル黎明期に誕生した本格的デジタルカメラ3選
SONY Cyber-shot PRO DSC-D700
SONY Cyber-shot PRO DSC-D700 1998年10月
SONYが本機で作った本格的なデジタルカメラ。
1998年、デジタルカメラはまだフィルムカメラの代用品という位置づけから抜け出しつつある途中の時代でした。現在のように、スマートフォンで数千万画素の写真を簡単に撮影できる時代とは違い、1990年代後半のデジタルカメラは、画質、記録容量、バッテリー、記録速度、パソコンとの連携など、まだ多くの制約を抱えていました。
そのような時代にオリンパス、Canon、そしてSONYが銀塩カメラから本格的にデジタルカメラへ移行させるために登場させたのがCyber-shot Pro DSC-D700でした。
すでに市場には「オリンパス C-1400L」のような一眼レフ風デザインの高級コンパクト機が存在しており、ソニーはこれに対抗しつつ、さらに本格的な撮影機能を詰め込むことで差別化を図りました。
外観
手に取るとズッシリと重さを感じる35mm一眼レフの雰囲気を持っています。デザイン的にはL型タイプのオリンパス C-1400Lなどに近い感じもあるが、サイズは明らかに一回り大柄。重さも820gと結構重い。落ち着いた色調と質感を持っていて、他社にない曲面処理が特徴でした。 
本機で一番目を引くのが大型のズームレンズです。
搭載されているのは光学5倍ズームレンズで35mmフィルムカメラ換算で28~140mm相当をカバーするため、広角から望遠まで1本で対応できるタイプでした。
さらにこのレンズ鏡筒に幅広のゴム巻きリングが2つ(手前がズームリング、奥がフォーカスリング)配置されている点です。電動ボタンでウィーンと動くズームではなく、撮影者の左手でガシッと掴み、自分の手首の捻りでダイレクトに画角とピントを追い込めるメカニカルな構造をしています。
基本的には一眼レフらしい直線的なボディを持ちながら、大型グリップやボディ後部などには適度な曲面が与えられています。このグリップは筐体が820gあるのでしっかり保持するためにも重要で指を掛けるためのくぼみが設けられており、撮影時にも指が自然に引っ掛かることでしっかり握れます。
特に背面側へ回り込むようなボディの丸みが印象的だ。この辺の直線+曲面という組み合わせはSONYらしい。
DSC-D700の上面を見ると、一般的なコンパクトデジタルカメラとは大きく異なるのが分かります。電源やシャッター、撮影モードなどの操作系が、カメラを構えた状態で扱いやすいように配置されている。特に、本体上部の操作系とレンズ側のズームリングを組み合わせることで、フィルム一眼レフに近い撮影スタイルを実現している。
本体左側にはAF/MFの切替と撮影モードダイアルがあり、プログラムAEだけではなく、シャッター優先、絞り優先、マニュアル露出にも対応していました。
右側。シャッターボタン、情報を表示するモノクロのサブ液晶が配置されています。 
DSC-D700の特徴の1つが中央のペンタ部に収まる光学ファインダーです。単なる電子ビューファインダーではなく、レンズを通った光をハーフミラー(固定式の半透過ミラー)で分岐させ、光学ファインダーと背面液晶を同時に使える設計になっている点は、当時のデジタル一眼構造としては先駆的でした。
背面のデザインは、前面よりも情報量が多く、液晶を中心に各種ボタンや操作部が配置されています。
当時として大型の2.5型TFT液晶(解像度は18万ドット。)が配置されています。同時期のCanonPowerShotPro70が2インチ、OLYMPUS C-1400Lが1.8インチだったことからもかなりの存在感がありSONYの本気度も分かります。またファインダーを覗いて撮影する一眼レフスタイルと、大型液晶によるデジタルカメラらしいスタイルであり、この二つを一台のボディに収めているところが、DSC-D700の面白さでもある。
メニューボタンを押すと、各種設定が行えるようになります。
操作はパネル横のカーソルとボタン3つで操作します。
また、モードをPLAYしグリップ上部のダイアルでレビューと送りが行えます。 
グリップ側にはPCMCIA Type2スロットがあり、CFでもメモリースティックスロットでないのでかなり巨大です。
当時はこの写真にある10MBのType IIカードを使ってみたのですが、容量的に無理がありSD→CF→PCカードスロットで代用しました。さすがに現在ではPCカードスロットを挿入するPCが見当たらない。
バッテリーは汎用NP-F530。同時期の他のデバイスと互換があります。
本機もデジタルカメラらしい映像出力機能も搭載していました。 
本体スペック
撮像素子:1/2インチ 約150万画素 CCD
レンズ:35mm換算28〜140mm相当・光学5倍ズーム、開放F2〜2.4)
フォーカス:CCD TTLオート(MFモード付き)
絞り:ワイド端F2~11 テレ端F2.4~11
シャッター:4~1/2000sec
ISO感度:ISO100, 200, 400
液晶:2.5インチ TFT18万画素
ファインダー:光学一眼レフ形式
記録形式:1344×1024ピクセル JPEG(3段階)TIFF
記録メディア:PCカード TypeII(メモリースティック対応)
フラッシュ:内蔵 GN10
電源:リチウムイオン
大きさ:130x100x150mm
DSC-D700はCCDのスペックだけではなく、本体には、光学5倍ズームレンズが搭載されています。焦点距離は5.2~26mmで、35mmフィルムカメラ換算では28~140mm相当。つまり、広角28mmから望遠140mmまでを1台でカバーでき、この点がライバル2台との最大の違いでした。 
撮影
1/2インチ・有効約150万画素CCD、スペック的にはライバルだったキヤノン Power-shot PRO70にやや譲るとされていましたが、実際に撮影した写真から受ける見た目の解像感ではDSC-D700の方が上という感じがします。 しかしながら画面全体にノイズっぽさが目立ち、特に青空などブルー系、花のオレンジ系には階調にノイズが出やすい印象です。
庭のムクゲ(木槿)


車庫に眠っているSUBARU SVX

庭のアジサイ


家庭菜園の虫除け用のマリーゴールド


そろそろ終わりのナス


室内(作業部屋)


DSC-D700は当時のコンパクトデジタルカメラの常識を超えて、35mm一眼レフに匹敵する撮影の自由度を、無理矢理盛り込んだ感のある野心作でした。絞り優先AEやシャッター速度優先AE、マニュアル露出、スポット測光まで備え、レンズには7枚羽根による円形に近い絞りを採用し、当時のパーソナル向けモデルでは類を見ないボケ味の表現を可能にしました。その反面オートフォーカスの精度や速度、ホワイトバランスの安定性、スローシャッター非対応といった弱点も抱えていたデバイスでした。 ある意味、その後のデジタル一眼レフカメラへの移行過程の未完成なプロトタイプだったのかもしれません。しかしながらSONYが本格的なデジタル一眼であるαシリーズを発売するのにはかなりの何月を有してしまいました。

今回久しぶりに動かし、撮影し同世代のカメラとの中で改めてレンズで描くことの強さを証明したデバイスでした。 本機の画質はセンサーや画像処理エンジンの力で綺麗に見せる現代のスマホカメラとは対極にあります。巨大で高品質なガラスレンズが捉えた豊かな光を、初期のCCDが不器用ながらも一生懸命にデジタルデータへと変換した画を表現できた1台です。



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