デュアルCPUと24桁演算。電卓メーカーだけが辿り着いた、異端の8ビット機
発売日: 1982年10月下旬(カタログ日付:昭和57年11月15日)シリーズ名: FP-1000シリーズ / 型番:FP-1100(カラーCRT対応モデル)
ボディカラー: クリームホワイト 標準価格: 128,000円(兄弟機FP-1000は98,000円)
本機は1982年10月、カシオ計算機株式会社が発売した8ビットパーソナルコンピュータです。兄弟機のFP-1000(グリーンモニタ対応・98,000円)とともにFP-1000シリーズとして登場し、FP-1100はカラーCRTに対応したカラーモデルとして位置づけられました。

当時のライバルであるNECのPC-8801(228,000円)やFujitsuのFM-8(218,000円)と比較すると、128,000円というFP-1100の価格は圧倒的なインパクトを持っていました。同等のグラフィック性能を持ちながら、価格差は実に10万円。デジタル腕時計、電卓、あらゆる分野で「価格破壊」を起こし続けてきたカシオが、いよいよパソコン市場でその牙を剥いた瞬間でした。

NEC PC-8801

富士通 FM-8
特徴は、メインCPUにZ80を採用しながら、サブCPUとしてμPD7801を搭載したデュアルCPU構成でした。これにより、表示処理やI/Oを分担し、当時としては非常にスムーズな動作を実現していた。単なるスペック競争ではなく、実用性を重視した設計思想が感じられる点が興味深い。
また、グラフィック性能も優れており、高解像度表示やカラー描画に対応。特にビジネス用途だけでなく、教育やホビー分野にも適応できる柔軟性を持っていた。さらに、拡張性の高さも見逃せない。外部ストレージや周辺機器との連携が考慮されており、システムとしての完成度は非常に高いPCでした。

デザインとコンセプト
FP-1100の外観は、クリームホワイトで統一されたCPU部とキーボード部のセパレート構成が特徴でした
CPU部はコンパクトな横長ボックスで、その上面には汎用拡張スロット×2が左右に整然と並び、別売のオプションカートリッジをワンタッチで挿し込める「スロットイン方式」を採用。ハードウェアの拡張を、まるでオーディオコンポーネントのラックにモジュールを追加するような感覚で行えます。
カタログのキャッチコピーは「拡張性をパッケージしたスロットイン方式」この言葉に、カシオがFP-1100を単なる家庭用パソコンではなく、「成長するシステム機器」として市場に訴求しようとしていた意図が透けて見えます。当時のAV機器の「コンポ」文化と重なるこの発想は、理系ユーザーやビジネスユーザーへのアピールとして非常に巧みでした。
本体の寸法は幅450×奥行310×高さ85mmと大きめ、キーボード部は幅450×奥行220.5×高さ71mmとこれも重厚感のあるキーボードです。両者ともにクリームホワイトで統一されており、デスクに並べたときの統一感と清潔感は、当時の国産PCとしては際立ったものでした。


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