P.が意味するデザインとコンパクトなサイバーショット DSC-P1

カメラ
デジタルカメラが、スタイルになった日。サイバーショット DSC-P1 という小さな革命
デジタルカメラが、スタイルになった日。サイバーショット DSC-P1 という小さな革命
Cybershot DSC-P1 (Sony) 2001年
「撮れる」から「持ち歩きたい」へ。手のひらサイズの高画質サイバーショット。
時のデジカメの多くは、機能と画質を追い求めるあまり、デザインは後回しにされていた。ずんぐりとしたボディ、無骨なグリップ、ボタンだらけのパネル——「撮れればいい」という割り切りが、製品の顔に滲み出ていた。
そこへソニーは、まったく異なる問いを持ち込みました。
「カメラを、持ち歩きたいと思わせることができるか?」
その答えが サイバーショット DSC-P1 です。2000年に登場したこのカメラは、スペックの進化と同時に、デジタルカメラに初めて「佇まい」という概念をもたらした一台として記憶されるべき存在でした。

前回紹介した当時主力機Cyber-shot S70(334万画素、光学3倍ズーム)の機能をそのまま小さくしてポケットサイズを意識したソニーの小型軽量化への強いこだわりを表に出した1台。 
「P」誕生の意味
DSC-P1 は、サイバーショットの中に新設された Pシリーズの初代モデルです。「P」は Pocket を意味するとも、Personal を意味するとも言われますが。いずれにせよ、そのコンセプトは明確でした。「いつでも、どこへでも、持ち歩けるデジタルカメラ」 です。
ポケットに収まるサイズにトップクラスの34万画素光学3倍ズーム機で、光学ファインダーも搭載。ソニーオリジナルのインフォリチウムバッテリーなど先進機能を凝縮し詰め込んだカメラでした。 
特徴では垂直なボディデザイン。Cyber-shot S70が比較的大ぶりなボディを持っていたのに対し、Pシリーズはコンパクトさと携帯性を最優先に設計されていました。しかしソニーが特別だったのは、小さくすることと同時に、美しくすることを同等の目標として掲げたことでした。Cyber-shotUシリーズを連想させるようなデザインで片手にスッポリと収まるデザイン、これが本機の特徴でした。 
当時ソニーは記録媒体にメモリースティック(ラージタイプ)を使っていたので必然的にコンパクトサイズのカメラを作るにはこのデザインになったのだと思っています。ボディはスチール製で質感も良いのがソニーらしい。

重さが208gとS70の420gと比較しても半分で携帯性に優れたカメラでした。 
 334万画素の「Super HAD CCD」を搭載し、新設計の6群6枚構成の光学式3倍ズームでした。レンズの明るさがF2.8~5.3とS70比べると若干暗めな点が残念でした。 
上部、モノクロ液晶パネル、シャッターボタン、モード切替などが並びます。
液晶部。1.5インチLCDは明るさはあるがこのボディサイズでは仕方ないが撮影するには厳しいです。幸いにして光学式ファインダーがこの問題を解決してくれていました。 
操作系はプッシュ式十字キー。

電源部。バッテリーは駆動時間に課題があり、メモリースティック(ラージタイプ)は以外とスペースを必要としていました。 
電源ボタンを押すと、起動時にレンズカバーがスライドし、レンズが繰り出します。  
当時DSC-P1 を初めて手にした人が感じる第一印象は、「薄い」 という驚きでした。
厚みわずか約29.3mmという、当時のデジタルカメラとしては驚異的なスリムさ。正面から見れば、まるでアルミの板が一枚そこに立っているかのようなシルエット。無駄なふくらみを一切廃した直線的なフォルムは、ソニーの工業デザインが追い求めてきたものでした。
カラーはシルバーを基調とし、表面は金属感を前面に押し出した仕上げ。プラスチック全盛の時代に、手に触れる質感にまでこだわったこの選択。
レンズは沈胴式で、電源オフ時は本体にすっきり格納される。この「起動するたびにレンズが迫り出す」という動作には、機械的な美しさと使い始める期待感が同居している。カメラを構えるたびに、少しだけ気分が上がる。そういう設計の細やかさが、DSC-P1 には息づいている。
フロント部分は徹底的にシンプルだ。中央よりやや左に寄ったカールツァイス バリオ・テッサー レンズ、右上隅にフラッシュ、そして左上にファインダー窓。それだけです。余計な装飾も、突起も、ロゴの主張も最小限に抑えられており、面の純粋さが際立ちます。
カールツァイスのレンズを採用したことは、当時のデジタルカメラ市場において特筆すべき出来事だった。100年以上の光学技術の歴史を持つドイツの名門レンズメーカーとの提携は、画質への本気をユーザーに伝えるだけでなく、サイバーショットというブランドに格調をもたらしました。
またS70同様MPEGムービーを撮影できる。ムービーの撮影モードはビデオメールモード(160×112ドット、最大1分間連続撮影)、プレゼンテーションモード(320×240ドット、最大15秒連続撮影)、MPEGムービーHQモード(320×240ドット、最大15秒連続撮影)の3つがあり、VAIOに取り込み編集までができましたがが主にDVカメラを使っていて録画時間の制限から私はあまり使用することはありませでした。 

本体スペックは
有効画素数約211万画素
撮像素子1/2型 CCD
レンズカールツァイス バリオ・テッサー(光学3倍ズーム)
焦点距離35mm換算 39〜117mm
開放F値F2.8(広角)〜F5.2(望遠)
シャッター速度1/1000〜8秒
記録メディアメモリースティック
液晶モニター1.8インチ TFT液晶
ファインダー光学式ズームファインダー
動画撮影対応(MPEG形式)
インターフェイスUSB、A/V出力
電源専用リチウムイオン充電池
本体サイズ約121(W) × 60(H) × 29.3(D) mm
質量約190g(本体のみ)
発売年2000年

前回のDSC-S70と同じく300万画素級ですが、P1ならではの発色や、解像感を体験できます。(枯れ気味のマリーゴールなのでイマイチですが) 

この時期のコンデジはCCD(Super HAD CCD)が使われていて現在のCMOSとはまた違った独特の発色、青空の深みやハイコントラストの写りが魅力でした。 
DSC-P1のコンセプトは小型(Protable)、遊ぶ(Play)、楽しさ(Pleasure)などの意味が込められているそうですが、以前紹介したDSC-Uシリーズのようにカジュアルに好きな時に写真を撮るというコンセプトを継承しているカメラだと思います。 
 
デザイン的にも他社にないカメラらしくないデザイン(デバイス配置)でした。ストロボとファインダーが横一線に並ぶことはソニーしかできない配置でこのデザインこそが、後のPシリーズのアイコンとなり、更に薄く、また高画質化が進んだPシリーズでした。 
デバイス的にはバッテリートラブルなど課題はありましたが超コンパクトで334万画素、光学3倍ズームを作れたのはソニーだからこそできたデバイスでした。 

「持ちたい」と思わせたデジカメ
DSC-P1 が残した最大の遺産は、画素数でも記録容量でもない。デジタルカメラをファッションアイテムとして捉える視点を市場に持ち込んだことでした。
カールツァイスの銘を刻んだ沈胴レンズ、薄く美しいシルバーのボディ、必要なものだけが揃ったミニマルな操作系。どれ一つとっても、単なる機能の実装を超えた選ばれる理由がありました。
あれから20年以上が経ち、スマートフォンのカメラが進化した今も、DSC-P1 を手にするとちゃんとカメラを持っているという満足感が湧いてくる。道具が人の気持ちを整える。そのことをソニーは、2000年にすでに知っていた。

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