光ディスクの黎明期に登場しレーザーディスクの生む映像を美しく進化したハイエンド機。
発売: 1986年11月 / 価格: 標準価格250,000円 / シリーズ: パイオニア Sシリーズ最上位(C-90・M-90との同列展開) / ボディカラー: ブラック / 後継機: LD-S2(北米)、LD-S1(日本・1989年)
「規格の限界」を見極めるために作られた一台
1986年11月。パイオニアはレーザーディスクという映像フォーマットの持つ潜在能力を、文字通りの意味で「測定する」ために一台のプレーヤーを世に送り出しました。それが本機です。定価250,000円という家庭用ビデオ機器としては高額の価格設定は、単なる高級志向ではなく、「フルアナログ処理でレーザーディスクが持つ最高品質を余すことなく引き出す」という技術的使命の表れでした。パイオニア自身の技術者たちがフォーマットの限界値を長年にわたり検証するためのラボラトリーツールとして設計されたこの機体は、発売から40年近くが経過した現在もなお、「高品質のフルアナログLDP」として語り継がれています。
1986年11月。パイオニアはレーザーディスクという映像フォーマットの持つ潜在能力を、文字通りの意味で「測定する」ために一台のプレーヤーを世に送り出しました。それが本機です。定価250,000円という家庭用ビデオ機器としては高額の価格設定は、単なる高級志向ではなく、「フルアナログ処理でレーザーディスクが持つ最高品質を余すことなく引き出す」という技術的使命の表れでした。パイオニア自身の技術者たちがフォーマットの限界値を長年にわたり検証するためのラボラトリーツールとして設計されたこの機体は、発売から40年近くが経過した現在もなお、「高品質のフルアナログLDP」として語り継がれています。

LD-S1のコンセプトはフルアナログ処理によるレーザーディスク規格の限界追求でした。
設計上の特徴は、回路基板に無垢の銅板を採用していました。一般的なプリント基板のグランドパターンを銅板全面で置き換えることで、電気的なノイズの侵入経路を根絶に近い水準まで排除する。通常の家電製品では絶対に採用されないコストと手間を惜しまないこの選択が、LD-S1を「測定限界に迫る機器」たらしめる根拠のひとつでした。
設計上の特徴は、回路基板に無垢の銅板を採用していました。一般的なプリント基板のグランドパターンを銅板全面で置き換えることで、電気的なノイズの侵入経路を根絶に近い水準まで排除する。通常の家電製品では絶対に採用されないコストと手間を惜しまないこの選択が、LD-S1を「測定限界に迫る機器」たらしめる根拠のひとつでした。

電源部には独立したツイントランスとAV分離独立電源を採用している。映像系と音声系で電源経路を完全に分離することで、映像信号の変動が音声回路に与える相互干渉を原理的に遮断する。この設計は現代のセパレートアンプの思想に通じるものであり、1986年の時点でビデオデッキに導入していたことはパイオニアの技術的先見性を示していました。
外観は、深みのあるブラック仕上げで統一されています。表面処理はヘアライン加工と光沢のある塗装を組み合わせたもので、視認性と高級感を両立させる。正面パネルは水平に伸びる操作ボタン群と大型のフロントローディングスロットで構成され、余計な装飾を一切持たないミニマルな佇まいがむしろ強烈な存在感を放ちます。
外観は、深みのあるブラック仕上げで統一されています。表面処理はヘアライン加工と光沢のある塗装を組み合わせたもので、視認性と高級感を両立させる。正面パネルは水平に伸びる操作ボタン群と大型のフロントローディングスロットで構成され、余計な装飾を一切持たないミニマルな佇まいがむしろ強烈な存在感を放ちます。
本機の作り、映像の安定感、発色の美しさ、そして音質の素晴らしさはその後のレーザーディスクのリファレンス機となりました。現在でもアナログ映像を出力するモデルとしては高い品質のモデルです。レーザーディスクのようなディスクデバイスは現在衰退の一途をたどっていており、Blu-rayやDVDはまだニーズはありますがアナログディスクでもあるレーザーディスクはさすがにニーズはなく、本機も部屋の片隅に収納されているのを久しぶりに起動させて見ました。

本機は状態も良く、ピックアップもそれほど劣化が進んでいない良い状態の個体です。電源を入れると各種インジケーターが点灯します。正面パネル類はシンプルで操作系スイッチもイジェクト、プレイなど基本的なもののみです。

表示系もキャプチャー、フレーム番号のみのシンプル表示です。
正面右側にはドアポケットがあり各種スイッチが配置されています。
当時としては最高の8ビットデジタルメモリ・4倍オーバーサンプリングD/Aコンバーターを採用したリファレンス機だった。
音響メーカーのパイオニアだけあってかなりのコストをかけていました。本体重量は約16.5kg。直径30cmのレーザーディスクを受け止めるための剛性を確保しつつ、フローティングメカニズムを内包するために必然的に生まれた重量です。

インシュレーターも真鍮です。

イジェクトスイッチ押すとフロントローディング式のトレイが出てきます。ディスクが30㎝あるので今となってはかなりの大型サイズです。
フロントパネル内部にはフルフローティング・ディスクドライブメカニズムが格納されています。ディスク全体を宙に浮かせた状態で保持するこのメカは、床や台からの微細な振動をディスクに伝えないための機構です。大型のレーザーディスクは回転体としての挙動が繊細であり、わずかな外力でもピックアップが正確にトラックを追従できなくなるリスクがあります。フルフローティング機構はその問題を根本から解消する、LD-S1ならではの贅沢な設計でした。 3210
フロントパネル内部にはフルフローティング・ディスクドライブメカニズムが格納されています。ディスク全体を宙に浮かせた状態で保持するこのメカは、床や台からの微細な振動をディスクに伝えないための機構です。大型のレーザーディスクは回転体としての挙動が繊細であり、わずかな外力でもピックアップが正確にトラックを追従できなくなるリスクがあります。フルフローティング機構はその問題を根本から解消する、LD-S1ならではの贅沢な設計でした。 3210
背部です。音声、映像はコンポーネントのみ、この後に出たLD-X1はS端子出力があります。

また、本体背面には8ピンU-DIN端子を装備しており、MSXコンピュータとの接続(Palcomシステム)に対応しています。これはLD-S1が単なる映像再生機器ではなく、インタラクティブなビデオディスクシステムの中核として機能することを想定した設計であり、1986年の時点でビデオとコンピュータの融合を展望していたパイオニアの先進的なビジョンの証でした。

本体スペックは
対応フォーマットレーザーディスク(CAV / CLV)、CD(デジタルオーディオ再生)
映像処理方式フルアナログ処理、アキュ・フォーカス・システム搭載映像
水平解像度約420本
映像S/N比約52dB(当時最高水準)
音声処理4倍オーバーサンプリング・デジタルフィルター
音声歪率0.05%以下(1kHz)
デジタルメモリ8ビット(CLV静止画・コマ送り対応)
映像出力端子コンポジット映像出力2系統(RCAピンジャック)
音声出力端子アナログステレオ2系統(RCAピンジャック)
コンピュータ接続8ピンU-DIN端子(MSX/Palcom対応)
ドライブ機構フルフローティング・ディスクドライブメカニズム
電源部ツイントランス、AV独立電源構成
回路基板無垢銅板グランド採用
本体重量約8kg発
売価格250,000円(日本)
久しぶりに映像を出力してみます。いつもはPROFEEL PRO(KX-34HV2に接続していますが今回はより精細な映像を見たくて14型トリニトロンカラービデオモニターSONYのPVM-14L2MDのOEM olympus OEV143接続してみました。
対応フォーマットレーザーディスク(CAV / CLV)、CD(デジタルオーディオ再生)
映像処理方式フルアナログ処理、アキュ・フォーカス・システム搭載映像
水平解像度約420本
映像S/N比約52dB(当時最高水準)
音声処理4倍オーバーサンプリング・デジタルフィルター
音声歪率0.05%以下(1kHz)
デジタルメモリ8ビット(CLV静止画・コマ送り対応)
映像出力端子コンポジット映像出力2系統(RCAピンジャック)
音声出力端子アナログステレオ2系統(RCAピンジャック)
コンピュータ接続8ピンU-DIN端子(MSX/Palcom対応)
ドライブ機構フルフローティング・ディスクドライブメカニズム
電源部ツイントランス、AV独立電源構成
回路基板無垢銅板グランド採用
本体重量約8kg発
売価格250,000円(日本)
久しぶりに映像を出力してみます。いつもはPROFEEL PRO(KX-34HV2に接続していますが今回はより精細な映像を見たくて14型トリニトロンカラービデオモニターSONYのPVM-14L2MDのOEM olympus OEV143接続してみました。

ラックから何枚かLDディスクを出してきます。
レーザーディスクは30㎝あり大型です。今更ですが光デスクでありますが映像はアナログ方式です。 
再生ボタンを押すとディスクプレーヤーとしてはかなりの回転音と振動が伝わってきます。ディスクは中森明菜のBITTER&SWEETです。

映像的にはトリニトロンブラウン管の性能もありますが細部のディテールまでくっきり描き出します。当時としては水平解像度420本は十分な映像です。

またアナログディスクにありがちなノイズ感は少なく、DVDのMPEG圧縮による映像とはまたひと味違うクリアで緻密な映像です。

本機はレーザーディスク固有の動作音を除けば最高画質・最高音質 回路基盤に無垢の銅版を使用するなど音響メーカーであるパイオニアが徹底したクオリティ追求型LDプレイヤーでした。
特にLD-S1のインターフェイス面で革新的な機能が、8ビットデジタルメモリによるCLVディスクの静止画再生・コマ送りでした。レーザーディスクには記録方式として、一定回転数で読み取るCAV(Constant Angular Velocity)と、外周と内周で回転数を変えるCLV(Constant Linear Velocity)の2種類があります。CAVディスクはフレーム単位でアクセスでき静止画やコマ送り再生が自在な一方、CLVディスクはその性質上、従来のプレーヤーでは静止画再生ができませんでした。LD-S1はCLVディスク再生中の映像を8ビットデジタルメモリにリアルタイムで取り込むことで、CLVディスクでも静止画・コマ送り再生を業界で初めて実現した。映画や音楽ソフトの大半がCLVフォーマットで収録されていた当時、この機能は革新的な意義を持っていました。
デジタル音声のD/A変換には4倍オーバーサンプリング・デジタルフィルターを採用。CD黎明期でも最先端の技術だった4倍オーバーサンプリングをビデオ機器に搭載したことは、LD-S1がオーディオ的観点でも一切の妥協を排除していることを如実に示します。高域の可聴帯域外ノイズを大幅に低減し、アナログフィルターの位相特性を改善することで、滑らかでクリアなデジタル音声再生を実現していました。
特にLD-S1のインターフェイス面で革新的な機能が、8ビットデジタルメモリによるCLVディスクの静止画再生・コマ送りでした。レーザーディスクには記録方式として、一定回転数で読み取るCAV(Constant Angular Velocity)と、外周と内周で回転数を変えるCLV(Constant Linear Velocity)の2種類があります。CAVディスクはフレーム単位でアクセスでき静止画やコマ送り再生が自在な一方、CLVディスクはその性質上、従来のプレーヤーでは静止画再生ができませんでした。LD-S1はCLVディスク再生中の映像を8ビットデジタルメモリにリアルタイムで取り込むことで、CLVディスクでも静止画・コマ送り再生を業界で初めて実現した。映画や音楽ソフトの大半がCLVフォーマットで収録されていた当時、この機能は革新的な意義を持っていました。
デジタル音声のD/A変換には4倍オーバーサンプリング・デジタルフィルターを採用。CD黎明期でも最先端の技術だった4倍オーバーサンプリングをビデオ機器に搭載したことは、LD-S1がオーディオ的観点でも一切の妥協を排除していることを如実に示します。高域の可聴帯域外ノイズを大幅に低減し、アナログフィルターの位相特性を改善することで、滑らかでクリアなデジタル音声再生を実現していました。

レーザーディスクの構造上、30㎝の大型のディスクを回転させ読み込み構造は機械的には負荷が大きく維持が難しいデバイスではありますが発売から36年が経過しても歪みの少ないアナログらしい美しい映像を今でも再生してくれる貴重なデバイスです。

40年を経ても色褪せない、アナログ映像の極点
Pioneer LD-S1は、家庭用ビデオ機器に「リファレンス」という概念を持ち込んだ先駆的な一台でした。フルフローティングメカ、無垢銅板回路基板、ツイントランス独立電源、4倍オーバーサンプリングDAC、CLV静止画メモリ——そのひとつひとつが「限界まで妥協しない」という設計思想の結晶であり、定価25万円という価格もその必然的な帰結でした。。
MPEGの圧縮映像とは一線を画す、アナログ的な滑らかさと緻密さを持つLD-S1の映像は、発売から40年を経た今なお現役ユーザーを魅了し続けている。デジタル全盛の時代だからこそ、このフルアナログの巨人が体現した「信号を純粋に届ける」という哲学の重みが、かえって際立って感じられます。


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