PowerBook5300CS (Apple) 1995年
粉々になったPowerBook5300CSのヒンジを修繕
持病のように所有するPowerBook5300CSもヒンジ部の強度不足によりモニター部は剥離した状態です。
特にヒンジ部はボロボロです。液晶部を分解してヒンジ部の補強(接着)を試みました。
まず試してみたのが最近CMでも見かけた米国製の接着剤ゴリラ。
ゼリー状と液体のものを2つ購入。
ヒンジの状態はモニター部のプラスチックとヒンジ部のネジの強度不足でネジ部そのものが割れている状態。
通常の瞬間接着剤と同様にプラ部と金属部を接着し5時間ほど放置。結果はあっけなく剥がれてしまいました。
液体のも試して12時間ほど放置しましたが同様に効果なし。アロンアルファのほうが強力のような気がします。 5
次にトライしたのはアマゾンで購入したパテ
固形ですが手袋して練り込むと柔らかくなります。
ヒンジ部を分解します。このバネが硬化しているのが原因ですが代替え品がみつからずKURE556を噴霧
元に戻しパテ埋めしその上からゴリラを流し込んでみました。
一晩放置して固まったところでヒンジを回してみましたがあっけなく崩壊
ちなみに片側のヒンジはLCDのリボンケーブルもあるためパテ固定のみでバネを外してあります。
半分諦めかけていましたが電源入れるとハードディスクも生きていてOS立ち上がるので再度方法を検討。
次に挑戦したのがこれもアマゾンで購入した隆成コミュニティ J-Bウエルド オートウェルド 超強力接着剤
Steel(本剤)とHardener(硬化剤)の2剤を1:1で混ぜ合わせて使います。
パテ埋め内部と表面に塗ります。瞬間接着剤とは異なり完全に硬化するまでに24時間を要します。
これがかなり強力でパテ埋めしてヒンジ部との歪みを埋めてその上から接着することである程度の強度が保てました。ケーブル側はパテ埋めのみ
液晶本体をカバー部に取り付けます。
とりあえず固定できました。ヒンジ部は右側のバネのみで効いている状態ですが、硬さは片側のみで十分耐えられます。
元に戻ったPowerBook5300CSです。
本機は、PowerPC(603e)を搭載したApple初のPowerBookでした。
デザイン的には当時のPowerBookはグレイー色でしたが本機はブラック基調で好きなデザインでした。
曲線を生かしたPowerBookと比べるとストレートなデザインです。
デバイス的にはノート型Macとしては初めて交換可能なドライブベイが採用されました。しかしながら一番使用頻度があるCD-ROMはサイズの関係上搭載できす、FDを中心にMOやZiPのような大容量なリムーバルディスクのみでした。
キーボードもキーストロークもありフルタッチが可能なタイピングし易いキーボード。
スライドパット。この時代はスペース的には小さいタイプでした。
正面左側。PCカードスロットが2個搭載されていました。当時はPCカードベースのモデム等がよく使われていました。
ヒンジ部です。このモデルの非常に弱り部分です。
背部。大型の赤外線ユニットが目を引きます。
インターフェイス系はSCSI、ADB端子2つとシリアルポート。
右面は脱着式のフロッピーディスクドライブ。ホットスワップ機能で起動中も出し入れが可能でした。
液晶部。このモデルはパッシブマトリクス方式ながらカラー表示が可能な液晶パネルでTFTほど解像度が高くなくとりあえずカラー表示が可能となったような液晶。
チルトスタンドは側面のボタンを押すとバネ仕掛けで飛び出す。
本体スペックは
OS:System 7.5.2
CPU:100または117 MHz PPC 603e
ROM:4 MB
RAM:8〜32 MB標準、64MBに拡張可能
2次キャッシュ:なし
LCD:640 x 48010.4インチ77ppiカラーデュアルスキャン、16ビットカラー
ビデオ出力:VID-14、ケーブル(Apple P / N M3927LL / A)、512 KB VRAM(16ビットビデオを提供する一部のモデルでは1 MB)が必要、640 x480および832×624で8ビットビデオをサポート、640 x870および1024×768の4ビットビデオ
HDD:500 MB、750 MB、または1.1GB EIDE
拡張ベイ:PowerBook190と同じ
ADB:キーボードとマウス用1ポート
シリアル:コンピューターの背面に1DIN-8RS-422ポート
PCカードスロット:2
SCSI:コンピューターの背面にあるHDI30コネクター
PCカードスロット:2つのタイプII(1つのタイプIIIカードも可)
赤外線:AppleのIRtalkのみをサポート
サイズ:2.0-2.2 x 11.5×8.5インチ
電源を入れてみます。
コストダウンが図られている液晶は起動時にはコントラストが弱い。
起動する頃にはある程度見られるようになります。経年劣化かもしれませんがTFT液晶のようなハイコントラストではありません。
OSは漢字Talk7.5が起動。久しぶりに漢字Talk動かしました。
640 x 48010.4インチ77ppiカラーデュアルスキャン、16ビットカラーとVGAでは少し解像度不足。
デザイン的には従来のPowerBookの曲線美はなくおとなしめのビジネスライクなデザインですっきりとしています。
デザイナーは日本人で私的には好きなデザインです。
しかしこの個体は不具合も多くPowerBook至上もっとも故障の多い機種という汚名までついたマシンでした。
今回紹介したヒンジの強度不足、ボディのひび割れ、液晶、バッテリー発火と様々な課題があり維持が難しいマシンでもあります。幸い私の個体はヒンジとひび割れのみでなんとか維持ができている状態です。
その後に発売されたPowerBook1400はボディ強度の改善、CD-ROMが搭載できないドライブベイの改善などがされヒット製品になり短命な悲劇のPowerBookでした。
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