DTC-1000ES (Sony) 1987年 標準価格200,000円
SONYの民生用DATの1号機
DAT規格のプレヤーは1,987年に各メーカーから発売されました。
当時はデジタル録音といえばPCM録音するしかなくPCMプロセッサーとVCR(VHS or β)で行っていました。過去記事:PCM-501ES+EDV-5000 (http://loncelot.blog.so-net.ne.jp/2011-05-06#more)
この構成をDTC-1000ESは1台でコンパクトなDATテープで実現できたのは当時は画期的でした。私が購入したのは大学時代(1988年)で当時はまだDAT自体の認知度が低く、どちらかというとマニア向けの機器でした。
1号機とあって妥協なく極めてこだわった作りがされています。
駆動部は物量を投入して4DD(ダイレクトドライブ)方式で、ドラム,テイクアップリール,サプライリール,キャプスタンのそれぞれにダイレクトドライブでLモーターを個ずつ搭載していました。またローディング用、カセットローディン用にモーターを搭載し全部で7個のモーターを搭載するなど複雑な構成でした。(要はコストが掛かっている)
デジタル録音機のアナログライン入力からの録音の質を左右するのはA/Dコンバーターですが、本機は世界中のレコーディングスタジオでCD作成のマスタリングに使用されている何百万円もする業務用機器PCM-1630 と同じ 2重積分型 をL/R独立して採用しています。
持病といわれるロータリーエンコーダー。
当時、このDAT規格はカセットレコーダー(アナログ)からデジタルに移行期で高度で高性能な録音機であります。
テープレベルですがCDと同等(CD以上48KHz16Bit)のサンプリング(44.1kHz16Bit)をもちCDのサンプリングを超えた仕様であるがゆえに著作権問題で大きくつまづき、本機ではCDからの直接デジタル録音できないなどの問題を当初は抱えていました。(後に可能。SCMS対応)
テンキー部。AMSやID書き込み、プログラム選曲などに使用します。
スタートIDによるAMS機能、IDの自動書き込みや、ミュージックスキャン、プログラムナンバーによるダイレクト選曲、リナンバー機能、スキップ機能、イレース機能などを搭載。
3モードタイプのカウンターとピークレベルメーター、プログラムNo、AMS、メモリー表示、スタートID/スキップIDの表示、サンプリング周波数の表示、結露警告表示(よく表示される)などをマルチディスプレイを搭載しています。
カセット装着時にトレイが引出され、クローズ後テープローディングされるリニアスケイティング方式を採用。
フェールセーフ設計によりDATテープを誤った方向でセットした場合や、開閉時に障害物が合った場合でもセーフティー機能が働きます。
背部はライン入出力とデジタル入出力。大型のトランスが特徴。
本体スペックは
型式:デジタルオーディオテープシステム
チャンネル数:2チャンネルステレオ
サンプリング周波数:48kHz(録音/再生)44.1kHz(再生のみ)32kHz(DIGITAL INのみ録音/再生)
量子化:16ビット直線
エラー訂正:ダブルエンコーデッドリードソロモンコード
エンファシス:プリエンファシス(録音時,アナログ入力に対して)OFFに固定
ディエンファシス(再生時)on/off自動切替え
変調方式:8-10方式
周波数特性:2~22,000Hz±0.5dB
ダイナミックレンジ:90dB以上(録音時,エンファシスOFF)
SN比:92dB以上(録音時,エンファシスOFF)
全高調波歪み率:0.005%以下
ワウ・フラッター:測定限界(±0.001%W・Peak)以下
インターフェース アナログ LINE IN/OUT(ピンジャック)DIGITAL IN/OUT(EIAJ準拠同軸)
電源:AC100V(50/60Hz)
消費電力:32W
大きさ:470(幅)×100(高さ)×420D(奥行)
重さ:約12kg
現在は一線から退いていますが、DATテープの再現性は所有するDAT機の中では1番優れている気がして我が家のサブリビング(子供の遊び部屋)で他の機種(CDP-X55ES,TA-E2000ES etc)などと一緒に保管されてときどき動かしています。(意外とデリケートで室温が低い日は結露して動きません。)
本機の発売から25年が経ちますが、本機の音質は現在のデジタル音質とはまた違った音質を持ちます。我が家にはこのDTC-1000ES、DTC-59ES、DTC-ZA5ESがありますが、本機が録音機としては1号機ながら優れた音質を持つ録音機だと思います。
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