PC-8801(NEC) 1981年 定価228,000円
PC-8001の完璧を求めたグラフィックを強化したビジネス指向のマシン。
大ヒットしたPC8001の仕様を継承し、高解像度(400ライン)と漢字表示を可能にした上位互換機で一番の進化はこの画面を描くグラフィック機能でした。また本体とキーボードが分離したセパレートタイプの元祖。当時は一体型のマシンが主流のなかとてもかっこ良かったです。
本機の特徴はなんといってもグラフィック機能の強化で640×400:モノクロが表示でき、いままで漢字を表示するにも16×16ではサイズ大きくて実用的ではありませんでしたが、400ラインのモノクロディスプレイで漢字( 40×25文字)を見た時は感動しました。当時はMZ-80Bのモノクロ320×200が我が家では最高スペックでした。
背部です。ディップスイッチ系と映像端子。カラーはデジタル8pinなので接続できるディスプレイが家になく映せません。フロッピー用のインターフェース、プリンター端子、RS-232Cと豊富でした。
また、拡張スロットも4つ搭載されていたので、ボード類の増設も可能でした。(但しかなり高価でしたが)
最初はデーターレコーダー(カセット)を記録媒体に使っていましたが、その後当時は高価だったフロッピー(PC-80S31)を購入。今でも使えると思いますがディスプレイがないので不明。
内部です。初期モデルだけあってかなり詰まっています。
漢字ROMボード(PC-8801-01)もオプションで第一水準しかなかった。
メインメモリー。
CPUμPD780C-1(4MHz)
内部は多くの汎用ICで埋められていて集積度は低いのが分かります。
現在は予備機も含めて2台あります。
キーボードは配列自体はPC-8001に準じていて、使いづらいカーソルキーもそのまま。キータッチはメカニカルスイッチ(アルプス電気製)でそれなりにタイピングし易いですがキーボード自体が分厚く重いキーボードです。
本体スペックは
CPU μPD780C-1(Z-80Aコンパチ、4MHz)
ROM N-BASICおよびモニタ:32KB N88-BASIC:40KB
RAM ユーザーズメモリ:64KB
スロット内増設可能:32KB単位でバンク切り替え
グラフィック表示 640*200ドット 3画面
640*400ドット 1画面(専用高解像度ディスプレイ使用時)
ビデオ出力 R.G.B セパレート出力方式(カラー)
コンポジットビデオ出力方式(輝度変調、モノクロ)
家庭用TV(TVアダプタ経由)に接続可
漢字ROMボード オプション
キーボード JIS標準配列
拡張用スロット 4スロット(PC-8012バス上位コンパチブル)
オーディオカセットインターフェイス 600ボー/1200ボー
プリンタインターフェイス パラレルインターフェイス(セントロニクス社仕様に準拠)
シリアルインターフェイス RS-232C規格に準拠。割込み/ポーリング制御可
8インチフロッピーディスク
インターフェイス 本体内スロットに内蔵可
ミニフロッピーディスクインターフェイス 内蔵(PC-8031-1WおよびPC-8031-2W用)
ライトペン PC-8045使用可
カレンダ時計 NiCd電池でバックアップ
電源 AC100V、50/60Hz
消費電力 最大70W、平均40W
外形寸法 本体:496W*342D*107H mm
キーボード:464W*214D*72H mm
重量 本体 7.1kg、キーボード2kg
ディスプレイなく接続できなかったので実家に持ってきてデジタルRGB用ディスプレイに接続してみました。
BASICはN88-BASICが搭載されていました。特にグラフィック系の命令が強化されました。上位互換といっても実際はハードウェア構成が異なるためBASICレベルの互換程度であったような記憶があります。
ハード的には搭載メモリが184Kバイト(RAM64KB,ROM72KB,VRAM48KB)と4倍以上に強化されているなど魅力的なマシンでしたがPC-8001との互換性を保つために基本設計(CPU μPD780C-1:Z80A 4MHz相当)を変更できなかったことがマシン全体のレスポンスに影響を与えていました。
したがってN88-BASICでのプログラミングは現実的に実用性に欠け(遅い)たため、マシン語によるプログラムが増えていきました。
N88BASICはハードウェアの機能拡張(グラフィックやサウンド)により完全な互換を維持できなかったためNーBASICも搭載していました。
N-BASICはコマンド(NEW on 1)でPC-8001モードに切り替わりました。
いつものベンチマークを行ってました。
5 TIME$=”00:00:00″
10 A=0
20 For I=1 to 10000
30 A=A+1
40 NEXT I
50 PRINT A
60 PRINT TIME$
結果55秒 かなり遅い。
PC-8801 55秒μPD780C-1(4MHz)
MZ-700 30秒Z80A(3.5MHz)
X1(CZ-801) 30秒Z80A(4MHz)
PC-980EX4 6秒 80286(10MHz)
PC-980EX4 4秒 80286(12MHz)
PC-9801RA 2秒 Cyrix Cx486DLC(25MHz)
PC-286BOOK 4秒 80286(12MHz)
FM-7 14秒 MBL68A09(8MHz)
FM-8 23秒 MBL68A09(4.9152MHz)
MZ-2500(2000mode) 26秒 Z80A(6MHz)
MZ-2000 26秒 Z80A(4MHz)
PC-8201 47秒 80C85(2.4MHz)
MZ-80K 49秒 Z80A(4MHz)
MZ-80C 50秒 Z80A(4MHz)
HC-20 1分35秒 日立製 6301 614kHz
PC-2001 4分13秒 μPD7909
ついでにフロッピーディスク(PC-88S31)も接続。FDに入っているゲームもまだ読み取ってくれました。
当時は本機でプログラミングやゲームでよく遊んでいました。(中学時代)
当初はビジネスマシンとしての位置づけで登場しましたがPC-8001の資産が活用できたことからホビー向けの主流になっていきました。
本機はNECのPCとしては初めてのキーボード分離型でありFDDもサウンド機能も搭載されていないシンプルなものでしたがこのPC-8801の成功がNECをコンシューマー向けのコンピューターメーカーとしての位置を決定づけた機器だったと思います。
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