MDS-JA30ES (Sony) 1997年

オーディオ機器

MDS-JA30ES (Sony) 1997年 標準価格120,000円
MDS-JA3ESから進化したMDデッキ。

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発売当初のMD規格はそれほどいい音質とは言えなかったことからでそれほど期待はしていませんでした。

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初号機(MDS-JA3ES)から実質2年を経て発売された本機は大分音質が改善されていました。

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本機は新開発のS-TACT ICを搭載したMDデッキで入出力の20ビット化や演算語調の拡大を行うことで、MDのフォーマットである16ビットを越える20ビット相当精度のダイナミックレンジの広い録音・再生を可能にしています。

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また課題のデータ圧縮に際し、人間の聴感に基づき、限られたデータ量を有効に使う適応高域制御技術が導入されていて、入力信号に応じて、量子化ビット数が少ないと歪感の悪化を感じる信号では高域を制限して量子化ビットを増加させ、量子化ビット数不足の影響が少ない信号では、高い周波数まで再生帯域を延ばす事で高域の再現性を向上させています。これによって従来の音質より大分改善されている気がします。

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背部はアナログ出力に加え、光同軸、光デジタル(入出力)になっています。また光デジタル出力のビット語調を16ビットと20ビットで切替ができます。

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デザイン的にはMDS-JA3ESを基本的に若干変更されています。

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本機はトレイローディング式でCDと同様です。従来のスロットローディング式と比べディスクに負荷は掛かりにくいのが特徴です。

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アナログソース(光デジタルも可)の録音時に、無音状態から曲が始まると自動的に曲番を付けるオートトラックマーキング機能を搭載しています。また、可変レベルシンク機能により、より細かく無音と判断する信号レベルと時間を設定できます。

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パネルはMDS-JA3ESとそれほど変わらず情報量も多いです。ディスク名や曲名を約1,700文字までディスクに記録できるタイトル機能を搭載しており、従来のアルファベットや数字、記号に加えカタカナ文字も使用できます。

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パネル情報は任意に切り替えが可能です。

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内部を開けてみます。MDS-JA3ESよりもパーツ類は増えましたが相変わらずMDってこんな構成で音が出るんだ。って感じです。(最初はMDS-JA3ES)

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MDS-JA30ES

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一番故障が多い、MDのユニット部です。ゴムベルトは1度交換済み。

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D/A変換部には、ソニーのESシリーズのCDプレイヤーで採用されているカレント・パルスD/Aコンバーターを採用しています。電圧として出力されるパルスを電圧性ノイズの影響を受け難い電流に置き換えて伝送しており、安定した電流源を持つ事と、電圧変動の影響を受けないことで安定した低域再生を実現しています。

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シャーシにはFBシャーシを採用しており、十分な強度と厚みを持ったメタル材を使用し、外周を取り囲むブレームと前後に渡したビームで、シャーシ全体を一つの箱として強固に固めています。それぞれの部分に異なる形状と大きさの部材を組合わせることで固有振動を相互に打消し、シャーシ全体としての振動を低減しています。

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本体スペックは
A/Dコンバーター 20bit⊿∑
D/Aコンバーター カレントパルスD/Aコンバーター
可変(V.C.)フィルター
音声圧縮方式 ATRAC
録音・再生時間 ステレオ:最長74分
モノラル:最長148分
周波数特性 5Hz~20kHz ±0.3dB
ダイナミックレンジ 104dB以上(再生時)
SN比 107dB以上(再生時)
全高調波歪率 0.002%以下(再生時)
ワウ・フラッター 測定限界(0.001%W・peak)以下

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入力端子 ライン:1系統
光デジタル:2系統
同軸デジタル:1系統
出力端子 ライン:1系統
光デジタル:1系統
ヘッドホン:1系統
電源電圧 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 24W
外形寸法 幅430×高さ125×奥行345mm
重量 約9.3kg
付属 ワイヤレスリモコン RM-D14M
別売 カタカナ入力専用リモートコマンダー RM-D10P(\7,500

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実際にCDからデジタル出力してMDS-JA3ESとMDS-JA30ESを聞き比べてみましたが意外としっかりとした音質で驚かされました。

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通常はCD再生はMDP-999を使用しますがなぜかどちらのMDレコーダーもタイトルインデックスが自動に取得できずCDP-XA5ESに切り替えたところ可能となりました。

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MDS-JA3ESはいかにも音をデジタル圧縮した音で圧縮による音域の劣化は私のような素人でもわかるものでした。

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音質的には素人レベルではなかなか解りませんが、MDS−3JAESは30JAESと比較すると若干レンジが狭く、音の広がりもなく初期のSONYのCDPlayer(CDP-101) のようなデジタルっぽい感じの音質です。

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一方MDS-JA30ESは音質には違いがありレンジも広く、音質的も高音質化されている感じがします。特に高音域の伸びが良く、音に厚みが増します。

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MDの規格自体が圧縮されているのでCDと同じクオリティを求めるのは難しいですが2年ほどで音質をしっかりと修正できるSonyの技術力は捨てたものではないとMD感じさせられました。もっともMD自体の用途がそれにマッチングしているかは難しいですが。

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本機は不評だったMDでの音質をSonyがしっかりと手を加え、ATRACの技術的な進歩にも助けられデバイスとしてしっかりと高音質化されたデッキに生まれ変わったものでした。もう少し早く出会っていればMD自体の評価を私の中では変わっていたのかもしれません。

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