TC-K555ESA カセットデッキ (Sony) 1991年 標準価格105,000円
機械と集積回路の融合し磁気テープを使った素晴らしい楽器。
カセットデッキは既に過去のフォーマットですが、現在のデジタルフォーマット中心の音楽とは異なり、磁気テープによるアナログ信号とそれを再生するメカが融合したデジタルでは味わえない音を奏でるマシン。
さすがにカセットテープで聴く機会は少なくなりました。以前(昔)は音楽を録音できるメディアはカセットテープしかありませんでしたし、今ではほとんど行われていないと思われるFMラジオのエアチェックやレンタルしてきたレコードを録音するなどに使っていたりしました。
当時はレコードやエアチェックした曲、あるいはCDから好きな曲を選択したMYカセットを作っていました。デジタル録音できたのはPCMやDATがありましたがそれほど普及していたわけではないので、CD-R(90年代後半)やMD(2001年頃)が出現するまではずーと使われていたフォーマットです。
さて本機ですが、銅メッキシャーシー、重量級トランスによる電磁的ノイズの遮断、大型の鋳鉄インシュレーターによる防振効果などを採用したESシリーズのカセットデッキで仕様からもわかる通りなかりコストを掛けたマシン。
普段はDTC-59ES(DAT)と一緒に置いてありますが重量は59ESの倍くらいあります。
内部は外観の質感と同様に銅シャーシを使ったコストの掛かった作りで、内部はデッキ部と電源部を中央に配置し、特に中央部の大型の電源トランスや音響用電解コンデンサは圧倒的です。
そして、その左右にコントール部とオーディオ部が分離配置されていて、音質劣化を防いでいます。
デッキ部分は調子が良く、ベルトのへたりもなくヘッド部もクリーニングしましたがまだ大丈夫そうです。
このヘッドには、アモルファス磁性合金の特性を生かしたレーザーアモルファスヘッドをベースに、ヘッド巻線に高純度無酸素銅PC-OCCを採用したPC-OCC巻線レーザーアモルファスヘッドを採用しているなど高性能であり、録音した音はデジタル録音した音に負けないくらい(MD程度)のいい音がでます。(レンジは狭いですが意外と解像度の高い感じ音です。)
本体スペックは
型式 カセットデッキ
キャプスタン軸受け サファイアベアリング:2
ヘッド 消去:1
録音:1
再生:1
モーター リニアトルクBSL D.D.モーター:1
DCモーター:2
SN比 57dB(EIAJ、Dolby off、規定録音レベル、ES・IVカセット)
76dB(Dolby NR C、最大録音レベル、ES・IVカセット)
周波数特性 15Hz~22kHz ±3dB(EIAJ、ES・IVカセット)
周波数範囲 10Hz~23kHz(EIAJ、ES・IVカセット)
ワウ・フラッター(EIAJ) ±0.04%Wpeak
0.022%WRMS
歪率 1.3%(第3次高調波歪率、250nWb/m、315Hz、ES・IVカセット)
消費電力 24W
外形寸法 幅470×高さ145×奥行380mm
重量 13.6kg
付属 ゴールド:ワイヤレスリモコン RM-J703
録音メディアであるカセットテープには3種類(ノーマル、ハイポジ、メタル)があり、テープによって磁性体(酸化鉄、クロム、メタル_純鉄)が異なり、この磁性体によって音が異なってきます。
カセットの録音は録音するフォーマット(レコード、PCM、CD)と磁性体(テープの種類)の組み合わせとデッキの調整(録音レベル、バイアス、ノイズリダクション)によってオリジナルの音が作れることができ、レコーディングの楽しさがありました。
現在のデジタル音源とメモリータイプの再生機では、このようなオリジナルな音の作成がなかなかできなくなったのが残念ですが、こういったアナログ音源と録音機で作るアナログレコ-ディンもたまにはいいのではないでしょうか。
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