80’年代FMチューナー2選 PIONEER F-120

オーディオ機器
PIONEER F-120 1982年 45,000円

パイオニア技術を注ぎ込んだデジタルダイレクトデコーダーを搭載したデジタルチューナーの1号機前回紹介した。F-780から更に進化したFM/AMデジタルチューナー

この。ダイレクトデコーダーはFM波の検波、復調までデジタルで行う方式で、ステレオ復調をアナログで行う方式では不可欠だったフィルターが省略でる仕組みでした。この方式の音質に与える影響は絶大で、高音の抜けや低音の解像度が向上したと言われていました。

音質に影響を与えるインターフェイス部のアンプにはMOS FETを採用したり、無酸素銅線を多用するなど、パーツ等も厳選されていた。

フロントパネルは周波数表時がグリーン色でシルバーのボディと調和が取れ、表示は非常にシンプルです。F-780のようなシグナルインジケーターはありません。 表示パネル左側は電源スイッチとFM/AM切替スイッチ。4225
右側は各操作系が並びます。チューニングスイッチ、メモリースイッチ、録音レベルチェックスイッチ、FMミューティングオフスイッチ、FM IF帯域幅切替スイッチ、選局スッチ(STATION CALL)が並びます。
大型の選局スッチ(STATION CALL)が目を引きますが自病のクッション素材の経年劣化で機能していません。(押してもインジケーターが点灯しなく、選局もできません)

久しぶりにF端子にアンテナ線(ケーブルTV)を接続して動かしてみました。電源から起動しました。が、モードをFMにして周波数を動かしていきましたが受信し音声は出ますがステレオになりませんでした。

とりあえず内部を開けてみました。いろいろとアプローチしてみましたがMONO(FMミューティングオフスイッチ)モードでは受信しますがステレオでは受信しない状態です。放送局自体はかなり拾うのでモノラルですがいい音が聞こえます。 
AMは問題なくサーチして受信できますが、さすがにこの時代ではFM局化が進む中AM局は少ないです。

残念だったのが周波集選択用のSTATION CALLボタン系が経年劣化でスッチ系の押しが悪い状態でした。タクトスイッチのクッション素材がボロボロになり、押してもタクトスイッチが押されない状態です。

ボロボロのクッション素材をアルコールで取り除きます。  4027

100円ショップで売っている薄いシリコンを切り取って装着しました。(ボタンとタクトスイッチ間が埋まります) 
選局スッチ(STATION CALL)は機能し、メモリー機能も動いていたので記録ができその都度チューニングする必要はなくなります。 
<FMチューナー部>
S/N比50dB感度:mono:1.8μV、新IHF 16.2dBf stereo:21.0μV、新IHF 37.7dBf
実用感度(Narrow、75Ω) mono:0.95μV、新IHF 10.8dBf
SN比(80dBf入力時) mono:96dB stereo:88dB
高調波歪率  Wide mono:0.0095%(100Hz)、0.0095%(1kHz)、0.01%(10kHz)、stereo:0.015%(100Hz)、0.015%(1kHz)、0.05%(10kHz)、Narrow mono:0.09%(1kHz) stereo:0.5%(1kHz)
実効選択度 Wide:30dB(400kHz) Narrow:60dB(300kHz)
ステレオセパレーション Wide:65dB(1kHz)、50dB(20Hz~10kHz) Narrow:40dB(1kHz)、40dB(20Hz~10kHz)
周波数特性 20Hz~15kHz +0.2 -0.8dB
イメージ妨害比 80dB
IF妨害比 100dB
スプリアス妨害比 90dB
AM抑圧比 70dB
サブキャリア抑圧比 60dB
ミューティング動作レベル 5μV(25.2dBf)
<AMチューナー部>
選択度 30dB
SN比 50dB
イメージ妨害比 40dB
IF妨害比 65dB
<総合>
出力レベル/インピーダンス FM(100%変調):650mV/900Ω
AM(30%変調):150mV/900Ω
電源電圧 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 14W
外形寸法 幅420x高さ61x奥行317mm
重量 4.0kg
本機は私が購入した初めてのデジタルチューナーでした。当時は専用アンテナを設置して同軸ケーブルを家に中に取り込むことで受信していましたが、現在ではCATVの環境下ではFM信号も送信してくれるので手軽に受信が可能となりました。
中学-高校自体はFMのエアチェックに明け暮れていたのを思い出します。残念ながらエアチェックは死語になりつつあり、これは高品質のストリーミングが普及し手軽に音楽が視聴できる時代になった為でしょう。音質的には前回紹介したPIONEER F-780より世代も新しいこともありFM音楽が聴きやすく質感と音の広がりは十分なものです。 
FM放送全盛期の70~80年代と比較してもFM局も増えていて、のも当時の不安定な受信環境が異なり、信号自体は良質な状態で拾えるので久しぶりに本機を通じて聴くFM音楽は今聴いても良いものでゆっくりとした時間の中でFM音楽に酔いしれました。 

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