V-800XとZ-5000
前回修理したV-800X(1984)、年代的には今回紹介するZ-5000(1982)やV-909RX(1983)など80年代前半のTEACの代表的なデッキ。
この2台はどちらもシングルデッキ(リバース不可)で音質重視のタイプでした。ヘッドは3ヘッド、シングルキャプタンでした。
ヘッドにはCA(コバルト・アモルファス)ヘッドを採用していて、価格的(89,800円)にも中級でしたが本機の上位機種V-900X(119,000円)とではオートキャブレーション機能以外がないだけでした。
この時期のデッキはスイッチ類が多い傾向ですが本機はデザイン的にも上手く配置されそれほどゴチャゴチャ感がありません。
正面左側に電源、タイマー、入力セレクター、ノイズリダクション関係が配置されています。
中央部には基本的な操作系を配置。
イジェクトはスイッチ式でこのシリーズはよく壊れるようです。V-900も所有していますがイジェクト不良で放置状態。(いつか直します。)
今回録音用にMaxellUDⅡを開封して録音してみました。
前回と同様にソースはCDでPD3000からダイレクトに接続してdbxで録音しました。dbxはある程度高い録音レベルまで上げられます。
音質的には当時10万円前後のデッキなのでそれなりです。NRの性能か低音から高音までオリジナルに近いような音を再現してくれます。
交換したFL管も調子がよく、必要な情報を表示してくれます。
ブラック基調のパネルに銀メッキ系スイッチを直線的に配置し、大型のFL管を装備した筐体は眺めていても楽しいものです。
今回はFL管とゴムベルトのみの交換でした。デッキはシンプルな構造ですが録音した音質は十分な実力があったデッキでした。
次は当時のTEACがかなり力をいれて開発したZシリーズのZ-5000。発売当初(1982)はまだ学生だったので高価で買えず、社会人になってから購入したデッキでした。
外観は金属のダイカストボディで重厚感と強度があり、いかにも振動を抑えることによりテープ走行を安定化するための筐体です。
デザイン的にはV-800と同様な配置です。本機のほうが登場時期が早いのでこのデザインがその後のVシリーズに受け継がれた感じです。
正面左側は電源、タイマー、メモリー、カウンター、CPS(空白部分検出)、テープセレクター、ノイズリダクション、入力セレクター関係が配置されています。
中央は基本的なスイッチ類。
大型のパネル(FL管)。表示も大型でシンプルで判りやすい。
右側は録音調整系。手動式のキャブレーション調整はマニュアル見ないととできません。
当時のマニュアルです。
マニュアルキャブレーション調整方法。
このデッキにはSONYのMetalMasterで録音(NRはdbx)してみました。
驚かされたのはV-800のアナログ録音の再生も満足でしたが、本機での再生は少し次元が違いを感じました。
同じCD音源と同じ再生機(PD3000)で録音した音質はV-800と比べても低音から高音までのレンジが広く、力強い音でした。
あらためて当時のTEAC Zシリーズの実力を感じることができ、久しぶりにカセットデッキの音質の聞き比べをしてデバイスによる音質の違いを感じることができました。
当時はFM音源やレコード、テープ同士など録音ソースの品質にバラツキがあり、ソースによって音質のバラツキがありデッキの性能にも左右され、いかにいい音を録音するかが課題でした。
しかし現代では高品質の音源を再生するのではなく、カセットテープによる磁気テープ録音しか再現できないアナログ音質を求めるのが私は目的となっています。
同じ音源でもデッキによって音質の個性があり、また個性のあるピークメーターの変化を見ながら音楽を聴くことも良い時間を過ごす方法の1つだと思います。
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