ワンセグの繁栄と絶滅
地上波デジタル放送が本格化した2000年代、地上波デジタル放送のモバイル版として誕生した規格でした。地上波デジタル放送は、13のセグメントのうち12を使い、残り1つのセグメントをモバイル機器向けのワンセグ方式として利用されていました。このワンセグ規格のニーズに1番適合したのが携帯電話であり、放送開始の早い段階で対応機種が発売され、私も今回紹介するいくつかの機種を所有し活用していました。
現在もワンセグ放送は受信できますが、スマートフォンでの搭載は既になく、動画サイトや動画配信の普及でユーザーニーズの多様化により過去のものとなってしまいました。ワンセグ端末はフルセグ端末より小型化が可能で私は今でも仕事机(Panasonic:ポータブルワンセグTV SV-ME75)に置いて使っています。
私はdocomoiTVシリーズを使っていましたが、そんな忘れ去れた携帯端末を久しぶりに持ち出して動かしてみました。
P-901iTV(docomo-Panasonic) 2006年
液晶を横に90度傾けるスイッチスタイルを採用したdocomo初のワンセグ携帯。 8365
ワンセグ放送が開始されたのが2006年4月で携帯端末向けの地上デジタルから派生したサービスです。docomoはこのワンセグモジュール搭載の携帯を【iTV】という名称をつけていました。この仕様をいち早く取り入れたのが当時のPanasonic製の本機でした。
携帯電話でリアルタイムにTVが見られるというのは当時としては珍しく私もすぐに飛びつきました。
筐体はそれなりに厚みがあり、当時はよく携帯端末にワンセグモジュールを詰め込んだ感があったデバイスでした。
若干厚みのある携帯電話でしたが特徴はLCDが左右のどちらかに90度傾けられる「スイッチスタイル」を採用した。本体は片手で持ったまま、画面は大きな表示が行なえる横向きに傾けることができました。8387
待機中に画面を傾けるだけでテレビが起動するワンタッチ設定も可能。サイドに備えた「TVボタン」を1秒以上押すことでもテレビを起動できました。液晶を折りたたむことにより小型のワンセグTVスタイルにも変形ができました。
LCDは2.5インチ、240×320ドットのTFT半透過型を搭載。LCDのアスピクト比が4:3のため、16:9の放送を視聴する際に拡大表示を行なう機能を備えていました。
裏面はサブ用には約0.9インチ、96×25ドットのモノクロ液晶を搭載していました。
受信は可倒式のホイップアンテナを内蔵。ヒンジ側にあり可動域が大きく、液晶画面を外向きにしたまま本体を折り畳んだ場合でも、アンテナが邪魔にならない仕様でした。
同梱されていたイヤホンもアンテナを内蔵していました。しかしほとんど使用する機会はありませんでした。
キーボード部はオーソドックスで当時のFOMA仕様。
左側。microSDカードスロットのみ。
正面右側はチャンネルや音量調整などテレビ操作に使えるボタンや映像、音声出力の用のコネクター。
本体背部。カメラ(201万画素)はボタン側背面に搭載。FeliCaのアンテナもこちらの面。
バッテリーは既にへたっていますが起動します。
メインメニューはドコモのオーソドックスなアイコンランチャー式。
FOMAとしては初めてワンセグ放送に対応し一応アナログ放送の受像も可能でした。iモードFeliCaに対応するおサイフケータイで、モバイルSuicaも利用できるなどかなりの機能を詰め込んだ1台でした。地域設定しチャンネルスキャンすると受信が可能でした。
初号機だけあって録画機能はありましたが予約機能や追っかけはなく、設定した日時にアラームで番組の開始を知らせる視聴予約機能がありましたがこれもイマイチな機能でした。しかしこの初号だけはFOMAカードなしでも単独で視聴ができ、903以降のワンセグ携帯はFORMカードが必須となりました。
現在のようにスマートフォンでNetflixやYouTube、TVerなどのコンテンツが見られた環境では無かったため、携帯でリアルタイムで映像が流れることは当時は画期的でした。家電メーカーとしてのPanasonic製は出来も良く、2世代使っていました。
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