TEACが発売したオートリバース機の最高峰。
3ヘッド、録音オートリバース、4モーターDDメカニズムなど搭載できるデバイスを全て投入したオートリバース機
本機搭載のヘッドはリボン化したアモルファスを13層ラミネート構造にしたCA(コバルトアモルファス)ヘッド で,優れた磁気特性によって,優れたMOL特性やフラットな高域特性をもち、テープ特性にもよりますがなかりの高音特性をもっていました。
デザイン的にもTEACらしいメカニカルなデザインですが前回紹介したZ-5000とは違い録音操作系は格納式になりシンプルなデザインになりました。
正面左側に電源、イジェクトスイッチ、カセットホルダーが配置されています。
ヘッドホン端子は格納式となっています。
表示部(インジケーター)はLEDが使われていて見やすい。
電動式のグライドパネルと呼ばれる録音系はこのパネル内に収められ必要時にローディングされるギミックを持っています。
録音レベル、ノイズリダクション(ドルビーB,C,dbx)、バイアス調整などがこのパネルで操作可能でした。
基本的な再生系スイッチは大型で操作がし易い。
本機もCPS(自動選曲)も15曲まで自動頭出し、CDS(A面、B面からの頭出し)やブランクスキャン(無録音部分を飛ばす)ができるなど再生にも様々な機能がありました。
ヘッドの状態も良く、若干切り替え時の音が大きいがリバースも機能しています。
背部です。
本機もHi-res音源を使って録音してみました。 459
SonyのMetal-Sを使ってみました。リバース機ではありますが高音までしっかりと再生しバラつきもなく比較的安定しています。
キャリブレーションもマニュアル設定で調整が可能です。
メタルテープなので若干録音レベルを高く設定し録音中。
本体スペックは
トラック形式4トラック・2チャンネル・ステレオ
ヘッド構成録音(コバルト・アモルファス)×1,再生(コバルト・アモルファス)×1:コンビネーションヘッド
消去(ダブルギャップフェライト)×2
使用テープC-60,C-90タイプ
テープ速度4.8cm/S
モーター構成キャプスタン用:ブラシレスDCサーボ,DD×2
リール用 :コアレスDCサーボ,DD×2
メカニズム駆動用:DC×1
グライドパネル作動用:DC×1
ワウ・フラッター:0.025%以下(WRMS),±0.05%W.Peak(EIAJ)
早巻時間約70秒(C-60テープ)
総合周波数特性:20Hz~22kHz(25Hz~21kHz ±3dB EIAJ):メタル
20Hz~21kHz(25Hz~20kHz ±3dB EIAJ):クローム
20Hz~20kHz(25Hz~19kHz ±3dB EIAJ):ノーマル
総合SN比:(メタルテープ)61dB(NR OUT)〔3%THDレベル,WTD〕
70dB(ドルビーB-NR IN 5kHz以上)
80dB(ドルビーC-NR IN 1kHz以上)
92dB(dbx IN 1kHz)
ダイナミックレンジ:(メタルテープ)110dB(dbx IN 1kHz,ピークレベル)
入力ライン:60mV(入力インピーダンス50kΩ)
出力ライン:0.5V(負荷インピーダンス50kΩ以上)
ヘッドホン:40mW最大(8Ω)
電源:100V AC,50/60Hz,38W
外形寸法:432(幅)×119(高さ)×359(奥行)mm
重量:8.5kg
オートリバース機はシングルタイプと比べ構造が複雑で可動域が多いため性能的には劣ると言われていましたが本機は走行系において、両キャプスタンのブラシレスDCサーボモータによるダイレクトドライブ化することにより走行系を正逆とも対称になるなどリバース機のデメリットを克服する試みがされていました。
前回紹介したZ-5000とは再現性は若干劣りますが、このR-999Xはリバース機の欠点を克服し、再録用のリバース機の限界を極めたデバイスでした。