video 2020.05.252025.12.21 VHSとベータマックス:あの頃の「時間」を刻んだ磁気テープの魅力 映像をアナログで記録・再生するデバイス。日本では日本ビクターが開発したVHSとソニーベータ方式の2つ規格が存在した。 VHS、S-VHS,D-VHS VHS(Video Home System)の魅力:文化を作り上げた功労者 最終的に市場を制したVHSの魅力は、「手の届きやすさ」と「文化創造力」にあります。 レンタルビデオ文化の創造 当初から長時間録画(2時間)に対応していました。VHSは、「映画1本をまるごと録画・鑑賞する」というニーズに完璧に応えました。 VHSの「ざらつき」の温かさ 高画質なデジタル映像とは違い、VHSの映像には独特のノイズやざらつき(グレイン)があります。この「Lo-Fi(ローファイ)」な映像は、「温かい」と感じられ、レトロな美学として再評価されています。 NV-8800(National)1997年松下電器(Panasonic)が発売したVHS機 HR-D725(Victor) 1983年VHS初のHi-Fi搭載機。当時のフラッグシップ機 HR-S7000(Victor) 1987年ビクターが開発したS-VHS規格の初号機 HR-S8000 (Victor) 1988年 S-VHSの初号機HR-S7000から質感とデジタル機能を搭載した2号機 HR-S10000 (Victor) 1988年ビクターがS-VHS技術の集大成と付けたビデオデッキ SLV-7(Sony) 1988年SonyのVHS Hi-Fi方式の初号機 SLV-R7(Sony) 1989年Sonyが開発したS-VHS初号機 SLV-R5(Sony) 1990年オーディオ機器と一緒に置いても遜色のないデザインのS-VHSビデオデッキ。ローディングギア、コンデンサ修理 WV-H3 (Sony) 1995年 Hi8/VHSのハイブリットレコーダー WV-D1000(Sony) 1997年S-VHS,DVのハイブリットレコーダー SLD-DC1(Sony) 1999年SonyのD-VHSの初号機 D-VHDフォーマット 次世代のビデオ-テープとして開発されたフォーマットD-VHSはVHS との互換性を維持しつつ,より高画質・長時間のデジタル録画を可能にするデジタルビデオテープとして開発されたフォーマット。D-VHS の特徴は以下の4点に集約される。1.現行放送のアナログ記録とデジタル放送のビットストリーム記録が可能2.テープメディアのため記憶容量が大きい(最大で約44GB)3.VHSとの互換性4.製品の製造にVHS の技術や部品を流用でき低コスト最大のポイントであるデジタル放送の記録は、映像フォーマットはMPEG2を採用していたのが大きな特徴。またVHSの標準モードと3倍モードのように,高画質記録から低画質長時間記録まで6種類の記録モードが規格化されていました。 ベータマックス(β、EDβ) ベータマックス(Beta)の魅力:技術への誇りとコンパクトさベータマックスは、ソニーが開発した「技術者のプライド」が詰まったフォーマットです。 画質・音質へのこだわり ベータマックスは、テープ幅に対する記録密度が高く、初期の技術ではVHSよりも高画質・高音質であると評価されていました。特に画質にこだわる映像ファンやプロ用途では、最後まで根強い支持を集めました。 コンパクトなカセットサイズ VHSのカセットよりも一回り小さく、当時のソニー製品が持つ「小型でスタイリッシュ」というブランドイメージに合致していました。デッキ本体のデザインも洗練されたものが多く、所有欲を満たしてくれました。 私も含めマニアックな優越感 大衆的なVHSに対して、「ベータ」は少しマニアックで上質なものを選ぶという優越感がありました。後の「ED BETA」など、画質向上を追求した技術革新の歴史も魅力的です。 SL-HF705 (Sony) 1985年オーディオ感覚のリニアスケーティングメカを採用したHi-BandβHi-Fi SL-HF3000(Sony) 1986年β1搭載の編集の特化したHiBand-Beta機 修理編 SL-HF1000D(Sony) 1986年リニアスケーティングメカ、デジタルメモリー搭載 EDV-5000 (Sony) 1988年シンプルでスマートなデザインのEDβの普及機 共通するノスタルジー:愛おしい「不便さ」ベータもVHS、8㎜もデジタルメディアにはない共通の「儀式」と「体験」を持っていました。 巻き戻し音の記憶、リールの 「キュルキュルキュル……」という、テープを巻き戻す独特の機械音。そして、見終わったら必ず巻き戻しをしなければならないという「手間」。この不便さこそが、映像を物理的に扱っているという感覚を伴い、愛着を生みました。 トラッキング調整の手間 映像が乱れたときに、デッキの「トラッキング」つまみを回して調整する作業。映像が安定した瞬間の喜びは、現代のワンクリック再生では味わえません。あの映像の乱れもまた、磁気テープというアナログメディアの個性でした。 ディスクメディアで体験できない棚に並んだコレクション 大切な録画や購入したソフトが、ズラリと棚に並ぶ姿は、コンテンツを所有している実感を強く与えてくれました。