au dyapocket IS02

携帯電話(スマートフォン)

dyapocket IS02(TOSHIBA) 2010年

スライド式QWERTYキーボードと極薄設計が融合した、Windows Mobileの到達点
発表日: 2010年3月30日(東芝プレスリリース)/発売日: 2010年6月24日(au)/正式名称: dynapocket IS02(製造型番:TSI01/コードネーム: K01(東芝製世界モデル)/ボディカラー: ブラック×ホワイト

2010年にauから発売された東芝製「dynapocket IS02」は、Windows Mobile 6.5.3を搭載した過渡期のスマートフォンでありながら、薄型ボディと物理キーボードを併せ持つデバイスでした。 スマートフォンの主役がiOSやAndroidへと移り変わる直前に、PC的なアーキテクチャを極限まで凝縮したポケットに入るUMPCとしての側面を持っていました。

WindowsMobileの最終形

Windows Mobileは元来、PDA(携帯情報端末)の系譜を汲むOSであり、デスクトップWindowsの操作体系-スタートメニュー、ファイル階層、Officeファイルの編集-をポケットサイズで再現することを目指していた。iPhoneが切り拓いた「指先だけで完結するタッチ操作」とは異なり、Windows Mobileの根底には「PCの生産性をそのまま持ち歩く」という発想が色濃く残っていました。実際、IS02にはMicrosoft OutlookとのActiveSync同期や、企業利用を見据えたExchange Server連携が搭載されており、これはメール文面を”打つ”ことを前提としたビジネスユースを強く意識した機能だった。長文のメール作成や文書編集を快適に行うためには、フルタッチのソフトウェアキーボードだけでは限界がある。この課題への東芝なりの解答が、QWERTYスライドキーボードの搭載だったと言えるのではないでしょうか。

外観

最大の特徴は、横持ちのフルスライド式QWERTYキーボードを搭載しながら、厚さをわずか12.9mmに抑え込んだ極薄設計にあります。ディスプレイ側とキーボード側の2層構造でありながら、ストレート端末に迫る薄さを実現しており、ポケットに収まる極小のUMPC(Ultra-Mobile PC)を彷彿とさせる硬質な板状のフォルムを持っています。前回紹介した初代X01と並べるとその薄さが分かります。 

液晶部は4.1インチワイドVGA(480×800ドット)の有機ELディスプレイを覆うフラットなガラス面と、引き締まったブラックのベゼル。 
パネルはWindows Mobile 6.5.3でサポートされた静電容量方式になったため、スタイラスやつめ先ではなく、指で快適に操作できる。  
QWERTYキーボードは4段配列です。マス目のように整然と並んでいる。1つ1つのキーは小さく、キーとキーの間隔がそれなりに空いているうえ、クリック感もしっかりあり、タイピングはし易い。 
キーボード自体の構造変化によりますがこれもX01Tと並べるとかなり薄い。   

本体自体が厚みがわずか12.9mmに抑えられていたという事実です。スライド機構とディスプレイ層を差し引くと、キーボード側に割ける厚みは極限まで削られていました。そのため、キーストロークは非常に浅いものでした。しかし、東芝はペコペコとしたゴム接点ではなく、確かなクリック感のあるメタルドーム(金属接点)スイッチを採用していました。 
限られた面積に配置された4段・合計39キーのレイアウトは、モバイルでのテキスト入力を徹底的に研究した跡が見られます。右下にはカーソル移動のための方向キー(矢印キー)が配置されており、Windows Mobileのエクスプローラー操作や、テキスト選択時の細かいキャレット移動において絶大な威力を発揮しました。 
正面左側面には電源スイッチを装備。 
右側面にはカメラ(シャッター)ボタンとボリュームボタンが配置されている。 8128
背部のカメラ。 
撮像素子は有効約322万画素のCMOS。オートフォーカス(AF)付きで、画面上の任意の場所に触れればそこにピントを合わせることができる。 
CPUには、QualcommのSnapdrago 1GHzを搭載しており、動作は非常に軽快でした。 
東芝独自のユーザーインタフェース「NX!UI」
新たに搭載された東芝独自のNX!UI。
タッチパネルを利用して画面レイアウトを変更したり、よく見るWebサイトやよく使うアプリケーションをメニューアイコンとして優先的に表示したりするカスタマイズ機能を備えていました。これは、標準のWindows Mobileインターフェースがまだタッチ操作に最適化しきれていなかった当時の状況に対し、東芝が独自レイヤーでタッチ体験を底上げしようとした試みです。

本体スペック

OS: Windows Mobile 6.5.3 Professional 日本語版
CPU: Qualcomm Snapdragon QSD8250(1GHz)
RAM: 384MB
内蔵メモリ: 512MB ROM
外部メモリ: microSD / microSDHCカードスロット(最大16GB対応)
ディスプレイ: 4.1インチ ワイドVGA(480×800ドット)有機EL(AMOLED)
メインカメラ: 322万画素CMOS(オートフォーカス対応)
サブカメラ: なし
キーボード: スライド式QWERTY物理キーボード(39キー)
通信: CDMA 1X WIN(CDMA2000 1xEV-DO Rev.A / 下り最大3.1Mbps・上り最大1.8Mbps)
無線LAN: IEEE 802.11b/g
Bluetooth: 2.1+EDR
赤外線: なし
USB: microUSB
生体認証: なし
バッテリー: 1000mAh(連続通話約220分・連続待受約300時間)
バンドルアプリ: Internet Explorer Mobile、Office Mobile、Windows Live など
ボディカラー: ブラック×ホワイト

まとめ

WindowsMobile。かつてPDA(携帯情報端末)のOSをPlamと争いながら君臨し、カスタマイズのし易さから自分だけの一台に仕立て上げることを教えてくれたOS。しかし、2010年、IS02が世に出たとき、その背後にはすでに巨大な終焉の影が忍び寄っていました。 
Windows Mobileは、あくまで「Windows PCの小型版」でした。スタイラスペンで小さなスタートボタンを突き、階層の深いメニューを辿る。それはPCに慣れた僕たちには自然なことでしたが、iPhoneが提示した「指で直感的に操る」という魔法の前では、あまりにも無骨で、古めかしく映ってしまったのです。 
IS02に搭載されたWindows Mobile 6.5.3は、その無骨さを必死に拭い去ろうとした最後のあがきでもありました。指で押しやすい大きなボタン、流れるようなスクロール。しかし、Microsoftが選んだ道は「継承」ではなく「断絶」でした。次世代OS「Windows Phone 7」は、それまでのWM向けアプリとの互換性を一切切り捨て、全く新しいタイル状のUIへと舵を切ったのです。 
そしてIS02はiPhoneとAndroidが世界を塗り替えていく直前の2010年夏、Windows Mobile最後期のデバイスでした。dynabookが育てた薄型化の技術とSnapdragonの処理能力が一枚のスライド筐体に凝縮されたこのデバイスを手にすると、東芝がモバイルコンピューティングの未来に向けて放った最後の渾身の一手だったという感慨が、静かに伝わってくる気がします。 

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