デジタルオーディオが拓いた8mmビデオの提案。Sony EV-S900が示したPCM Multi Audio
EV-S900 SONY 1989年

1980年代後半から90年代にかけて、ソニーはHi8ビデオシステムの可能性を追求し続けていました。その集大成として登場したのがEV-S900でした。PCM Multi Audioシステムを搭載したこのハイエンド8mmビデオデッキは、CD品質のデジタルステレオ録音を実現し、単なる映像記録装置を超えた、総合AV機器としての新しいポジションを切り開いた1台です。

外観は前回のWV-H2のチープさとは違い、重厚でハイエンド機にふさわしい重厚感と質感があり、でオーディオ機に近いデザインです。

ソニーの高級オーディオライン「ESシリーズ」を彷彿とさせるグレー調のヘアライン仕上げを採用。当時のSONYハイエンド機の素材でした。

そして両サイドを固める重厚なサイドウッド。この組み合わせは、当時のオーディオ・ビジュアルファンの憧れでした。

フロントパネルには、機能ごとに整理されたボタン類が配置され、直感的な操作を可能にしています。

フロント部分の左にはPOWERボタン(ON/OFFインジケーター付き)、その下にPHONE LEVELノブ(MIN〜MAX)とHEADPHONES端子(標準ステレオジャック)が縦に並びます。ヘッドホン端子は緑色のカラーリングが施されており、視認性に配慮されています。

そのとなりには大きなカセット挿入口があり、その下にはLEDレベルインジケーターが配置されています。
横方向に広がっており、−dBスケールが細かく刻まれています。緑から黄、赤へと変化するグラデーションで録音・再生レベルをひと目で把握できます。


1980年代後半から90年代にかけて、ソニーはHi8ビデオシステムの可能性を追求し続けていました。その集大成として登場したのがEV-S900でした。PCM Multi Audioシステムを搭載したこのハイエンド8mmビデオデッキは、CD品質のデジタルステレオ録音を実現し、単なる映像記録装置を超えた、総合AV機器としての新しいポジションを切り開いた1台です。

外観は前回のWV-H2のチープさとは違い、重厚でハイエンド機にふさわしい重厚感と質感があり、でオーディオ機に近いデザインです。

ソニーの高級オーディオライン「ESシリーズ」を彷彿とさせるグレー調のヘアライン仕上げを採用。当時のSONYハイエンド機の素材でした。

そして両サイドを固める重厚なサイドウッド。この組み合わせは、当時のオーディオ・ビジュアルファンの憧れでした。

フロントパネルには、機能ごとに整理されたボタン類が配置され、直感的な操作を可能にしています。

フロント部分の左にはPOWERボタン(ON/OFFインジケーター付き)、その下にPHONE LEVELノブ(MIN〜MAX)とHEADPHONES端子(標準ステレオジャック)が縦に並びます。ヘッドホン端子は緑色のカラーリングが施されており、視認性に配慮されています。

そのとなりには大きなカセット挿入口があり、その下にはLEDレベルインジケーターが配置されています。
横方向に広がっており、−dBスケールが細かく刻まれています。緑から黄、赤へと変化するグラデーションで録音・再生レベルをひと目で把握できます。

右側には「H8」の緑色デジタル表示インジケーターがあり、Hi8フォーマットでの動作を示します。

中央には大型のFL管(蛍光表示管)がなり情報量は比較的多い。テープカウンターや残量表示、ピークプログラムメーター、PCMトラック番号、タイマー予約状況などの多彩な情報が確認できるデザインになっています。


中央には大型のFL管(蛍光表示管)がなり情報量は比較的多い。テープカウンターや残量表示、ピークプログラムメーター、PCMトラック番号、タイマー予約状況などの多彩な情報が確認できるデザインになっています。

その下には再生・録画・早送り・巻き戻しといった基本操作ボタンが並びます。

フロント下部のフラップを開けるとL·R独立2連マニュアル録音レベルボリューム、Hi8切替、ライン切替、シンクロエディット系スイッチ、PCMモードスイッチ、インデックス書込、画質調整、タイマー系のスイッチが並びます。普段使わないスイッチを隠すことで、前面のノイズを減らし、プレミアムな外観を維持しています。

フロント下部のフラップを開けるとL·R独立2連マニュアル録音レベルボリューム、Hi8切替、ライン切替、シンクロエディット系スイッチ、PCMモードスイッチ、インデックス書込、画質調整、タイマー系のスイッチが並びます。普段使わないスイッチを隠すことで、前面のノイズを減らし、プレミアムな外観を維持しています。
右側にはジョクダイアル/シャトルリングが配置されています。ジョグダイヤルは ダイヤルを回す速さに応じて、1コマ送り再生などの細かい速度調整が可能です。また、選局やタイマー予約時の時間設定、インデックス番号の指定にも使用されます。シャトルリングはリングを回す角度によって、スロー再生から高速なピクチャーサーチまで、再生速度を連続的に切り換えることができます。指を離すとリングが中央に戻り、静止画状態になります。

筐体は強固なシャーシで構成され、不要な振動を徹底的に排除。

大型インシュレーターha足元を支え、高音質・高画質を物理面から支える設計が見て取れます。


筐体は強固なシャーシで構成され、不要な振動を徹底的に排除。

大型インシュレーターha足元を支え、高音質・高画質を物理面から支える設計が見て取れます。

「PCM Multi Audio」が示した8㎜ビデオの可能性
EV-S900の最大の特徴は、「PCM Multi Audio」システムにあります。これは、映像とともにPCM(Pulse Code Modulation)デジタルオーディオを記録できる機能で、CDと同等の音質でステレオ音声を録音・再生できました。
従来の8mmビデオは、AFM(Audio Frequency Modulation)方式によるアナログ音声記録が主流でした。この方式自体もVHSなどのビデオテープで一般的だった「テープの端に記録するリニアトラック(線形トラック)」とは異なり、映像信号と同じヘリカルスキャン方式(回転ヘッド)を使って音声も記録するため、高音質なのが特徴でした。しかし、EV-S900はテープ上に専用のPCMトラックを設け、デジタル録音を可能にしたのです。これにより、音楽ライブの記録、高品質な音声素材の保存など、多用な用途にも対応できる機器となりました。 さらに注目すべきは、「Multi」という名称が示す通り、複数のオーディオトラックを活用できる柔軟性です。AFMとPCMの両方のトラックを独立して扱え、用途に応じて使い分けることができました。

実際にPCマルチトラック録音を行ってみました。 PCMモード切替 本体には、PCM録音のオン/オフを切り替えるスイッチがあります。通常の映像録画時にPCMオーディオを同時記録するか、AFMのみにするかを選択できます。これにより、後からPCMトラックに音声をアフレコ(オーディオダビング)することも可能でした。
このPCMマルチチャンネルPCMは、テープの映像記録エリアをすべて音声記録に割り当てることで、1本のテープに最大6チャンネル(ステレオ3系統)の音声を独立して記録できるという、当時としては魔法のような機能でしたた。

録音時間: 120分テープを使用すれば、最大で24時間(長時間モード)ものデジタル録音が可能でした。但しテープなので1トラック分は終わると巻戻して2トラックの再生となります。途中でトッラク切替は可能でした。 実際に6トラック全て録音するのは大変でしたがPCM録音を長時間録音するメリットはありました。

サンプリング周波数: 31.5kHz / 8bit(ノンリニア)。数値だけ見ればテープメディアで録音ができ、DAT(48kHz / 16bit)には大分劣りますが、8mmテープのサイズでは当時では十分なものでした。
音質的には解像度は低めですがソニー独自の高度なノイズリダクションとアナログ回路の質が相まって、聴感上は十分な音楽的なサウンドを奏でます。 8ミリビデオの規格を活かし、映像用の帯域をすべて音声に割り当てることで、カセット1本に最大24時間のデジタル録音が可能でした。これは、ビデオデッキを「超長時間高音質レコーダー」へと変貌させる、時代を先取りしたコンセプトでした。(久しぶりにDAT:DTC-ZA5ESまだ未紹介でしたが音質的にはやはりDAT録音には及びませんでした。)

EV-S900の最大の特徴は、「PCM Multi Audio」システムにあります。これは、映像とともにPCM(Pulse Code Modulation)デジタルオーディオを記録できる機能で、CDと同等の音質でステレオ音声を録音・再生できました。
従来の8mmビデオは、AFM(Audio Frequency Modulation)方式によるアナログ音声記録が主流でした。この方式自体もVHSなどのビデオテープで一般的だった「テープの端に記録するリニアトラック(線形トラック)」とは異なり、映像信号と同じヘリカルスキャン方式(回転ヘッド)を使って音声も記録するため、高音質なのが特徴でした。しかし、EV-S900はテープ上に専用のPCMトラックを設け、デジタル録音を可能にしたのです。これにより、音楽ライブの記録、高品質な音声素材の保存など、多用な用途にも対応できる機器となりました。 さらに注目すべきは、「Multi」という名称が示す通り、複数のオーディオトラックを活用できる柔軟性です。AFMとPCMの両方のトラックを独立して扱え、用途に応じて使い分けることができました。

実際にPCマルチトラック録音を行ってみました。 PCMモード切替 本体には、PCM録音のオン/オフを切り替えるスイッチがあります。通常の映像録画時にPCMオーディオを同時記録するか、AFMのみにするかを選択できます。これにより、後からPCMトラックに音声をアフレコ(オーディオダビング)することも可能でした。
このPCMマルチチャンネルPCMは、テープの映像記録エリアをすべて音声記録に割り当てることで、1本のテープに最大6チャンネル(ステレオ3系統)の音声を独立して記録できるという、当時としては魔法のような機能でしたた。

録音時間: 120分テープを使用すれば、最大で24時間(長時間モード)ものデジタル録音が可能でした。但しテープなので1トラック分は終わると巻戻して2トラックの再生となります。途中でトッラク切替は可能でした。 実際に6トラック全て録音するのは大変でしたがPCM録音を長時間録音するメリットはありました。

サンプリング周波数: 31.5kHz / 8bit(ノンリニア)。数値だけ見ればテープメディアで録音ができ、DAT(48kHz / 16bit)には大分劣りますが、8mmテープのサイズでは当時では十分なものでした。
音質的には解像度は低めですがソニー独自の高度なノイズリダクションとアナログ回路の質が相まって、聴感上は十分な音楽的なサウンドを奏でます。 8ミリビデオの規格を活かし、映像用の帯域をすべて音声に割り当てることで、カセット1本に最大24時間のデジタル録音が可能でした。これは、ビデオデッキを「超長時間高音質レコーダー」へと変貌させる、時代を先取りしたコンセプトでした。(久しぶりにDAT:DTC-ZA5ESまだ未紹介でしたが音質的にはやはりDAT録音には及びませんでした。)

背部です。 充実した入出力端子が配置されています。S-Video(Y/C分離)端子を装備しており、コンポジット接続よりも高画質な映像入出力が可能です。オーディオ端子も、ステレオ音声入出力が複数系統用意され、外部マイク入力やヘッドホン出力も完備しています。

さらに重要なのは、Control-L(LANC)端子の搭載です。これにより、対応カメラや編集コントローラーとの連携が可能となり、高度な編集作業をサポートしました。

Hi8とVideo8の互換性 EV-S900は、高解像度のHi8フォーマットだけでなく、従来のVideo8テープの再生にも対応しています。これにより、過去に録画した貴重な映像資産を活用できました。ただし、後年登場したDigital8には対応していません。

ハイエイト高密度情報をフルに引き出すメタルD.A.4ヘッドはハイエイトの高画質を常に安定して引き出すには、ヘッドの基本性能の高さと高効率化が求められます。そこでEV-S900には、コンピュータ磁路解析によってヘッド形状を決定し、高出力化に成功した新TSSヘッド(メタルD.A.4ヘッド)を搭載しましていました。しかも、トラック幅をSP/LP両モードに対して最適化し、専用ヘッドとして用いる4ヘッド構成を採用。 数々の高画質化信号処理技術とともに、ハイエイト対応カセットテープの高密度情報をぎりざりまで引き出し、きわめて美しい画像を実現しています。

シャープな映像を実現した3ライン相関検出型ダイナミックコムフィルター。 EV-S900には、水平走査の前後3ラインの相関を検出し、コムフィルターがY/C分離特性を最適化する3ライン相関検出型ダイナミックコムフィルター>を採用。クロスカラーやドット妨害の大幅な低減により、カラーエッジ部の色にじみを抑え、画面のすみずみまでシャープな映像を実現しました。


さらに重要なのは、Control-L(LANC)端子の搭載です。これにより、対応カメラや編集コントローラーとの連携が可能となり、高度な編集作業をサポートしました。

Hi8とVideo8の互換性 EV-S900は、高解像度のHi8フォーマットだけでなく、従来のVideo8テープの再生にも対応しています。これにより、過去に録画した貴重な映像資産を活用できました。ただし、後年登場したDigital8には対応していません。

ハイエイト高密度情報をフルに引き出すメタルD.A.4ヘッドはハイエイトの高画質を常に安定して引き出すには、ヘッドの基本性能の高さと高効率化が求められます。そこでEV-S900には、コンピュータ磁路解析によってヘッド形状を決定し、高出力化に成功した新TSSヘッド(メタルD.A.4ヘッド)を搭載しましていました。しかも、トラック幅をSP/LP両モードに対して最適化し、専用ヘッドとして用いる4ヘッド構成を採用。 数々の高画質化信号処理技術とともに、ハイエイト対応カセットテープの高密度情報をぎりざりまで引き出し、きわめて美しい画像を実現しています。

シャープな映像を実現した3ライン相関検出型ダイナミックコムフィルター。 EV-S900には、水平走査の前後3ラインの相関を検出し、コムフィルターがY/C分離特性を最適化する3ライン相関検出型ダイナミックコムフィルター>を採用。クロスカラーやドット妨害の大幅な低減により、カラーエッジ部の色にじみを抑え、画面のすみずみまでシャープな映像を実現しました。

画質:Blu-rayからのダビング 画質的には当時のハイエンドのS-VHSやED-ベータと比べるとスペック的にはそれほど違いはありませんでしたが、映像的にED-ベータ、S-VHSにはかなわない感じです。 5346 Hi8はテープの細さというハンデを技術やテープの素材(メタルテープを採用することにより磁気特性を向上)で補った優秀なフォーマットでした。5348 色のりが鮮やかで見栄えが良い。はやり外でハンディカムからの録画に向いている感じです。逆に暗いシーンではノイズが目立ちます。

EV-S900の最大の魅力は、やはりPCMオーディオダビング機能です。映像はそのままに、音声だけを高品質なデジタルステレオで差し替えることができます。これは、VHSなどのアナログリニアトラックへのアフレコとは比較にならない音質を提供しました。 5335 映像作品に音楽やナレーションを後から追加する際、この機能は非常に重宝しました。また、マニュアルでのPCM録音レベル調整とバランスコントロールにより、プロフェッショナルな音響調整が可能でした。

Sony EV-S900は、8mmビデオシステムのハイエンド機として、映像と音声の両面で妥協のない品質を追求した製品でした。PCM Multi AudioシステムによるCD品質のデジタルステレオ録音、S-Video端子による高画質入出力、Control-Lによる編集連携、そしてトランスフォーマー電源による安定した動作。これらすべてが、家庭用でありながらプロフェッショナルな使用にも耐えうる性能を実現していました。
1980年代後半、ソニーが描いた「映像と音声の融合」という夢は、EV-S900という形で表現しました。それは単なるビデオデッキではなく、家庭用AVシステムの可能性を大きく広げた、意欲的なプロダクトだったのです。

EV-S900の最大の魅力は、やはりPCMオーディオダビング機能です。映像はそのままに、音声だけを高品質なデジタルステレオで差し替えることができます。これは、VHSなどのアナログリニアトラックへのアフレコとは比較にならない音質を提供しました。 5335 映像作品に音楽やナレーションを後から追加する際、この機能は非常に重宝しました。また、マニュアルでのPCM録音レベル調整とバランスコントロールにより、プロフェッショナルな音響調整が可能でした。

Sony EV-S900は、8mmビデオシステムのハイエンド機として、映像と音声の両面で妥協のない品質を追求した製品でした。PCM Multi AudioシステムによるCD品質のデジタルステレオ録音、S-Video端子による高画質入出力、Control-Lによる編集連携、そしてトランスフォーマー電源による安定した動作。これらすべてが、家庭用でありながらプロフェッショナルな使用にも耐えうる性能を実現していました。
1980年代後半、ソニーが描いた「映像と音声の融合」という夢は、EV-S900という形で表現しました。それは単なるビデオデッキではなく、家庭用AVシステムの可能性を大きく広げた、意欲的なプロダクトだったのです。

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