モバイルギア MobileGear MC-K1 (NEC) 1996年
初代モバイルギア。NECが作ったQWERTYキーボード搭載機のPDA端末。 9632
外観はプラスチック素材(濃紺)で前回紹介したOASISPocketより若干大きい。
現在のスマートフォンの機能をキーボード付デバイスに取り入れた初期のPDA。
OSはその後搭載されたWindows CE/Pocket PC/Windows MobileではなくMS-DOSに独自UIを搭載している。
このサイズながら電子メール、ワープロ、表計算、アドレス帳、スケジュール、ToDo、メモ帳、電卓などのメニューから選択できました。
普段GUIになれているとカーソルのみの操作は新鮮。思っていたよりレスポンスも良く、思えば80〜90年代はこれがスタンダードでした。
ワープロもアプリケーション自体もMS-DOS下でキビキビ動きます。
連文節変換もOASISPocketより軽快で連文節変換も早く、レスポンスはいい感じでした。
その他のアプリで世界時計、表計算、スケジューラーなど起動してみました。
メモ帳。作図が可能でカーソル操作では厳しいですが、使うと意外と面白い。
LCDは8.1インチのモノクロSTN(640×240)タイプ。 コントラストも良く見やすい。
キーボードはかなり使い易くなっています。キーピッチは16.5mmとフルタッチが可能でキーストロークも長く比較的にタイピングしやすい。
このモバイルギアシリーズは他のCE機とは異なりファンクションキーを搭載しているのが特徴でした。またエンターキーも大きめで文字キーと他のキーが色を変えて配置されています。
正面左側。AC電源口のみ。
背部。RS-232C、IrDA 1.0の各種端子が配置されています。
右側。モジュラージャック、PCMCIA Type2のカードスロットがあります。PCカード搭載によりフロッピーディスクを増設しなくてもデーター保存がきるようになったのは便利でした。
背部です。単三電池2本で駆動するため機動性はよかった。中央は内蔵電池(CR-2032)。
本体スペックは
OS:MS-DOS
CPU:80486SL 25 MHz
RAM:16MB(32MB)
LCD:8.1インチモノクロSTN(640×240ドット)
通信:モデム FAXモデム内蔵
インターフェース:RS-232C、モジュラージャックRJ-11、モニタ(VGA)、IrDA 1.0、PCMCIA Type2、マイク、スピーカー
駆動時間:約8時間
サイズ:245×120×24.5mm
重量:550g
本機は通信機能を持ちPC間でのデーター通信が行えましたがやったことがありません。14.4Kbpsのモデムを内蔵していたので簡単な操作でメールの送受信が行なえました。
通信環境はパソコン通信のみと時代はインターネットにダイアルアップで接続する頃、ダイアルアップIP接続に対応していなかった為、パソコン通信のみ仕様は残念な点でした。(その後のバージョンアップで対応)
久しぶりにDOSベースの端末を動かしてみました。現在はモバイルOSとしてはAndoridOSやiOSが主流でありますが、多機能化していく中アプリケーション自体が重く大量のメモリを消費する傾向でこのDOSベースのシンプルなシステム動作はストレスを感じさせません。本機操作すると初代OASISPocketとの性能の差に驚かされます。
NECはPC-98HA以来、本格的なモバイルPCとしては初となり本機のインパクトは非常に大きかった記憶があります。通称「HANDY98」を持ち出してきました。このマシンは本機の発売からさかのぼる6年前の1990年末にNECが発売したモバイルPCでした。今回久しぶりに持ち出して本機と並べようとしたところ電源が入りませんでした。残念。(現在修理を検討中)
いずれにしても本機が登場した1996年から30年近く経過しますがモバイル端末がPCスペックを凌駕し、遅延が少ない高速通信や高画質の有機EL、5000万画素以上のカメラ機能などを備えたiPhoneやGalaxyFoldなどの多目的デバイスに進化するとは私は想像できませんでした。
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