Vinegar syndrome

アクセス数の多い偏光フィルムの交換をまとめています。空いている時間にまとめているので完成は気長にお待ちください。
ビネガーシンドロームはPC液晶の表面フィルム(偏光フィルム)が経年劣化により変性(溶けたような状態)になり酢酸臭を発生する現象です。劣化が進むと視聴性が悪くなり、状況によっては液晶本体にも腐食が進み故障となるケースもあります。
これまで何度か変性した偏光フィルムの交換を行ってきた手順のまとめになります。

作業に必要な物

市販のカッター
 変性した偏光フィルムを剥がすために使用。刃先でフィルムを剥ぎ取っていきます。なるべく小さく軽いものが剥がしやすい。

有機溶媒 
 アセトンまたは市販の糊剥がし
剤偏光フィルムの糊を剥がす(溶かす)のに使用します。 カッターで削っただけでは取り除けない。

有機溶媒はなかり刺激が強いので必ず外と換気の良い場所か換気扇を回しながら行う。吸い込むと気管支炎になるので注意。吸い込み量によっては頭痛とめまいの可能性もあります。室内なら換気とマスクは必須。(アセトンはお勧めしませんがよく溶けます。)
私がよく使う糊剥がし剤。どちらもAmazonで購入可
LOCTITE(ロックタイト) 両面テープはがし
ワイエステック 超強力のりクリーナー 泡タイプ

偏光フィルム 
 液晶の特定の光を画として変換するフィルム。環境などにより経年劣化により加水分解されるため、交換が必要。 以前は東急ハンズで購入していましたが現在はモノタロウかAmazon。
モノタロウ 250mm×250mm
 小型液晶用 安価
Amazon 620mm×500mm
 大型液晶用(13〜15inch)
光沢、非光沢があります。

消毒用アルコール
取り除いた糊を拭き取るときに使用。揮発性があるので乾きやすい。ノズル型が作業やすい。(水で拭き取ると乾かず液晶内部に浸潤するのでお勧めしません。)
濃度は76.9~81.4%。右は私が普段使用しているノズル型

その他
手袋(軍手かディスポタイプ)変性したフィルムを剥がす際にカッター使う為。

構造

ビネガーシンドローム状態は液晶上部の偏光フィルムの変性が原因である為、この偏光フィルムをカッター使って取り除きます。液晶ペンルはガラス製なのでカッターを使用してもよほど力を入れない限り傷つくことはありませんでした。

偏光フィルムと液晶パネルは糊で接着されていて、フィルムを剥ぎ取った後の糊の処理が大変です。糊は糊剥がし剤の使用時は短時間で少量ずつ行うことが重要です。

偏光フィルムを剥がした後に残った糊は短時間で少しずつ取り除いていくことが重要。まとめてパネル全体に噴霧して取り除こうとすると糊剥がし剤の液体が浸食してしまいます。(写真のように全体に噴霧して長時間放置してはいけません。)
※パネル全体に一度に行うと短時間に処理でき効率的ですが後が悲惨なことになりました。

糊剥がし剤や糊の拭き取る消毒用エタノールを大量に使用するとパネル全体に溶液が浸食して反射板に流れ込むことにより反射板にムラができ、バックライト点灯時に液晶がムラだらけになってしまいます。
VAIO C1のパネル2枚失敗しました。

手順

1.PC本体から液晶パネルの脱着
 液晶パネルを本体から取り外します。 

2.変性(加水分解)した偏光フィルム剥が
カッターナイフで劣化した偏光フィルム剥がしていきます。パネルのふちの部分からゆっくりと中央に向けて切り込みを入れていきます。

液晶パネルのガラス面を傷つけないように注意して剥がしていきます。ここの作業が1番大変です。個体差がありますが糊がしっかり付いている場合が多いのでゆっくり時間をかけながら作業します。

偏光フィルムは力を入れながら刃先をあまり立てずに行うとフィルムが切れません。フィルムを剥がしていくと液晶パネルには多くの糊が残ります。

フィルムが剥がれた状態。ここまでくれば作業の2/3程度終了です。

3.液晶に残った糊の削除
カッターで偏光フィルムを剥ぎ取った液晶にはフィルムを貼り付けている糊が多く残っています。



市販ののり剥がし剤または有機溶媒(アセトン)を液晶表面に噴霧してプラスチックのヘラを使って剥ぎ取っていきます。
大量に全体に噴霧するより少しずつ剥がしていくことをお勧めします。
※かなり揮発性の高い有機溶媒臭がするので屋外または換気扇下で行う。


プラスチックの
ヘラで必要以上の力を加えると液晶によってはガラス基板が傷がつくので要注意。
噴霧すると固着した糊に浸透して泡状の固体物になります。ペーパーで拭き取り、少量のアルコールで洗浄します。(アルコールを大量に噴霧して糊を取り除くとアルコールが液晶内部に浸透して反射版に侵襲するので注意)

大体2回ほど繰り返すと糊が剥がれ綺麗な状態になります。糊の付着状況によりますが3〜4回繰り返す必要もあります。

細かい糊跡が残ることがありプラスチックヘラでは取り除けない場合は軽く爪で擦ると剥がれる場合があります。

経験上、TFTパネルは上記の方法で上手くいった例があります。但しVAIO、PC9821、iBookにしか行っていません。

写真はPC-9821のパネル

過去に行った事例


 VAIO(505、Z505、C1、)
 PC98ノート(Lt、Na)
 MacBook
 OASISPocket

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