VAIO PCV-S600(1998年)

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マイクロタワー型に凝縮したDV編集が行えたデスクトップVAIO

初代モデルPCV-T700MRはミドルタワーということもあり大きく、その機能をマイクロタワーに凝縮したのが本機でした。

このマイクロタワーの筐体はソニーらしい独特なデザインが特徴で同時期に発売されたVAIOノートPC「PCG-505」と同じコンセプトデザインでした。

このS600は、映像の編集、楽しむのがコンセプトでした。他社製PCと明らかに異なるボディデザインは、当時のVAIOカラー(紫色)に彩られている。このカラーリングは好みが分かれるだろうが、ソニーの強烈な個性が現れていました。ケーブルの取り回しを考慮した側面のUSB端子などにもSonyらしい配慮も感じられます。

マイクロタワー型の筐体正面は非常にシンプルで、上部にCD-Rドライブでその下がフロッピードライブと電源のみの構成です。 
初代はアナログ入力(RCA端子)からMPEG-1リアルタイムエンコードが行えましたが本機はDV端子(IEEE1394)のみでDV端子を持つDVカメラ等からしか動画を取り込めない仕様。時代はMPEG2だったのであえてMPEG-1(640×480)リアルタイムエンコードはニーズは無かったと思います。

側面も他社にはないソニーらしいデザイン性の高いもので、VAIOロゴの彫りが目を引きます。

OSはWindows98SEでメモリもMAXの256MB増設しているので起動もそれほどストレスを感じさせません。


本機は標準装備のみでDVとの連携、編集が行えたのも特徴でした。付属ソフトも、SonyオリジナルのDV動画キャプチャー/編集ソフト「DVgate motion」や静止画キャプチャーソフト「DVgate still」と充実していました。当時のビデオカメラ(DVカメラ)はSD画像(720×480)が主流でHD(ハイビジョン)よりも解像度が低いですがこれはDVDと同等の標準画質レベルでした。


505シリーズと同様、DV動画入出力機能やMPEG1変換、ビデオCD作成用にはDVgate motionで行えました。編集自体はDVgate motionやAdobe PremiereLE-Jなど(こっちのほうが編集か可)で動画を加工・編集してCD-R経由でライティングか再度DVgate motionでDVテープに(デジタル仕様)書き出すことができました。またAdobe製のAdobe PremiereLE-Jもあり、高度なエフェクトはできませんでしたがPremiere入門としては十分でした。

画像関連では静止画&動画アルバムソフトPictureGear 3.0とAdobe PhotoLE4.0が標準でインストールされていたのである程度の編集は行えました。  
背面を見ると、一般的なATX機の構成。
PCIスロットにはモデムカードとi LINKカードが装着されている。シリアル端子もあり、追加でscsiカードも装着されている。裏側とはいえ、パネルなどにもソニーらしい主張が感じられます。

電源部分は前回のとおり、富士通のFMV-C630から移植した電源です。

本体スペックは
CPU:PentiumII プロセッサー333MHz
チップセット:440EX AGPSet
メモリ:64MB*1(64MB×1枚)/128MB (SDRAM) PC-100 
HDD:約8.4GB(Ultra ATA対応)※出荷時は一般 用2.1GB、DVデータ用6.3GBに設定
GPU:ATI 3D RAGETM PRO TURBO AGP 4MB(SGRAM)
オーディオ:Sound Blaster(R) Pro互換(オンボード、PCIバス接続)
FDD:3.5型
ドライブ:CD-R(読み出し最大24倍速、書き込み最大4倍速、CD-R FS対応)*ソニーCRX110E
外部端子:キーボード(PS/2、MiniDIN×1)、マウス(PS/2、MiniDIN×1)、シリアルポート(RS-232C、D-sub 9ピン×1)、パラレルポート(D-sub 25ピン×1)、USB(×2、将来の拡張用)、オーディオ入出力(ステレオミニジャックライン入出力、モノラルミニジャックマイク入力)、ディスプレイ出力(VGAタイプ、D-sub 15ピン×1)、ゲーム端子、モデム用モジュラージャック×2(LINE、TELEPHONE)、DV端子(i.LINK準拠、4ピン)×1
拡張スロット:PCI×2(1)、ISA×1(0)
モデム:56kbps/14.4kbps(FAX時)
サイズ:幅180mm×高さ302mm×奥行350mm
重さ:約8.2kg

S600用のモニターはブラウン管で実家に置きっぱなしなのでVAIOモニターで当時のイメージで設置してみました。

初代の機能をマイクロタワーに濃縮しコンパクトになり、使い勝手は良くなった反PentiumⅡ333MHzでのDV取込はかなりのコマ落ちが発生したことを覚えています。

また、ビデオチップはオンボードのMatroxのMGA-G200でした。G200は、3D性能ではやや貧弱な感じですが、色合いは当時のスペックからも美しい。

当時のDVノンリニア編集のニーズとコンパクト性を重視したモデルでしたがデバイススペックが追いつかないなど課題はありましたがVAIOが掲げた「DTV(デスクトップ・ビデオ)を体現する、映像編集・テレビ録画機能を意識した意欲的なモデルであり初期他社にない先進性のデザインやコンセプトはVAIO創成期のデスクトップPCとして貴重なモデルでした。

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