MV-10000 GigaStation (NEC)1999年

映像機器

MV-10000 GigaStation (NEC)1999年 350,000円 2025/10/01追記

世界初のビデオディスクレコーダー


















MVDISKというNEC独自仕様の書き換え可能な光ディスクで登場したのが本機です。
当時はこのMVDISKとDVD-RAM、DVD-RWなどが仕様をめぐって競争していました。MVDISK(NEC)、DVD+RW(SONY、Philips)、DVD-RAM(Pasonic、東芝)、DVD-RW(pioneer)など本当に規格が乱立していました。

 

















NECは独自規格(MVDISC(Multimedia Video DISC)フォーマット)をDVD-(RAM)RW陣営より早く市販し、普及を目指しました。デバイス的には非常に良くて出来ています。
CDやDVDと同じ直径12cmの相変化光ディスクを記録メディアとして使用しました。
ディスクはカートリッジに入っており,外観はDVD-RAMやPDなどとほぼ同じだが,フォーマットはNECが独自に開発したもで記憶容量は片面で5.2GB,両面で10.4GBのメディアもありました。
このMVDiscの価格は3900円でした。1枚あたり約1000回の記録が可能でした。(システムがフラグメンテーションは行なわれないので,使い込んでいくにつれ容量が少なくなる可能性がありました)。

ディスクの挿入は一般的なフロントローディン式でした。ディスク自体がカートリッジ式でありそれ以外は読み込みのメディアは読み込みできません。

デザイン的には左右にコントール系があり正面がパネルとディスク部。パネル部は金属を使用しており質感は良い。

表示部は蛍光管ではなくバックライトがない液晶方式。解像度がそれほど高くない。

正面左側。電源スイッチ、録画系スイッチと入力ピンプラグ、DV(カメラ)からのダビングも可能だった。

右側は再生、録画など基本的なボタンが配置されてる。

背部。基本的はアナログ出力ですがコンポーネント出力もサポートしていた。

付属のリモコン。これでフレーム単位の編集が可能でした。

アナログチューナーしか搭載されていないのでBlu-rayの映像を録画してました。
映像の記録フォーマットにはMPEG2を採用(音声はMPEG1 のレイヤー2)。入力信号をリアルタイムでMPEG2のストリームにエンコードして記録しています。
記録モードはビットレートと記録時間の異なる3種類が用意されていて標準モードでは片面で約2時間の録画が可能でした。ビットレートは毎秒約5.5Mbpsと高いクオリティを実現していました。

このフォーマットは片面にS-VHS相当の標準モードで2時間、長時間モードで4時間、高画質のファインモードで1時間の記録が可能でした。高画質のファインモードでは,記録時間は1時間でしたがビットレートは約10Mbpsに固定されており映像品質は非常に高い。当時のNTSC方式の映像ソースでは,これを上回るものは存在しないため,究極の高画質モードといえました。

アナログ経由ですがエンコーダーの性能がいいのか劣化も少ないいい映像が撮れます。
本機の仕様は可変ビットレートでの録画が行えたため、ソース情報が多い場合と少ない場合でもビットレートを変化させながら記録ができました。

技術的にはMVDISKが先行していましたがDVD-(RAM)RWが巻き返しDVDとの互換性が無い独自規格のため、残念ながら1台で終息してしまった。本機だけで記録した映像の追加、削除などが単独で編集作業が行なえ、録画は、残容量によって圧縮レートを最適化することができた。再生もサムネイルが自動作成され、フレーム単位でのコマ送り、リピートなどができました。

本体仕様は
MVDISK
ディスク外径:120mm
ディスク厚:1.2mm (0.6mm×2)
記録方式:相変化記録方式
回転制御方式:Zoned CLV
トラック方式:ランド/グルーブ方式
変調方式:1-7変調方式
レーザー波長:650nm
記憶容量:片面5.2GB、両面10.4GB
本 体
記録媒体:MVDISKカートリッジ
受信信号方式:NTSC方式
受信チャンネル:VHF,UHF,CATV,BS
入力端子:コンポジット×4、S入力×4、AFCパルス入力、BS検波入力、BSビットストリーム入力各1
出力端子:コンポジット×2、S出力×2、色差出力、BS検波出力、BSビットストリーム出力、ヘッドホン出力各1
本体サイズ:幅430×高さ119×奥行き376mm
本体重量:8.4kg

本器の登場前はMPEG画像の編集はPC上で行うしかありませんでした。当時のPCでのノンリニア編集にはやはり限界があり本機の登場で簡単でかつ質の高いMPEG編集が可能となり当時はまだテープでの配布も必要だったためそのままVHSデッキにダビングできることもメリットでした。

本機が1世代だけで終息してしまったのははやり互換性だったと思います。特に当時はビデオテープからDVDに映像メディアが移行していく中、同じ光ディスクであるCD,DVDビデオの再生など互換性がないのが致命的でした。

仕様的にはMVDISKは動画を1フレーム単位で管理ができたため動画編集(ノンリニア編集)には優位な点もありましたがVHS vs β方式のような2極化にはならなかったのが幸いでした。

ソニーや松下がDVD規格でモメていたときは静観していたNECだが(どちらの陣営にも入っていない),ビデオディスクレコーダ市場でライバルに先んじたことは,大きなアドバンテージでしたが、NECのこだわった独自規格はDVD規格のような共通フォーマットでも再生ができる時代にはそうぐわなかったかもしれません。デバイスの出来は非常に良かったので残念です。

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