電子スチルカメラ マビカ MVC-C1 (Sony) 1988年64,000円 MVC-A10 1989年 86,800円

カメラ

ソニーが作ったアナログ式電子スチルカメラ。

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デジカメが当たり前の現在で、それ以前は銀塩フィルム(アナログ式)が長い間主流の時代でした。1980年代にはフロッピーを媒体としたアナログ式電子スチルカメラが存在しました。
銀塩フィルムの映像は完成された領域にありましたがフィルムに直接書き込む為に撮影した映像の確認ができないのが最大の課題でした。この電子スチルカメラはフィルムに焼き付けることなく電気信号として静止画をフロッピーに記録する仕組みはデジカメのメモリで保存すると同様に画像が保存できるコンセプトはまさにデジタルカメラそのもののイメージでした。

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そん中ソニーが1981年に前々回紹介した2インチフロッピーディスクを記録媒体とし撮像素子にはCMOSを使った初のアナログ式電子スチルカメラを開発しました。
初代マビカはとんでもなく高額であり一般家庭用に普及させたものが今回ご紹介する1号機「MVC-C1」とマイナーチェンジ版「MVC-A10」です。

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初代マビカですが機能的にはオートストロボ、高速連写、セルフタイマーなどの機能を搭載していました。

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外見は現在のデジカメとは異なり双眼鏡のようなデザインでした。

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背部です。左側にファインダー。書面がフロッピー挿入口とその下が電源です。右側は再生アダプターの接続用のコネクター口があります。

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上部。シャッターボタン、液晶部はフィルム数が表示されます。タイマー等各種ボタンがあります。

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液晶部です。フロッピーを挿入すると撮影可能なフィルム数が表示されます。

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電源部です。バッテリーは使えないため再生アダプターを接続しないと電源は入りません。

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電源を入れてフロッピーを挿入してみました。

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フロッピーは認識しカウントもしました。シャッターも落ちましたが残念ながら再生アダプターから映像が出ません。

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別売の再生アダプタ(MAP-T1)を使うと、写真をテレビ画面で再生できるなどデジカメと同等の機能があるためモニターに繋いでみましたが残念。

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マイナーチェンジ版のA10はレンズにマクロ撮影モードが追加され,音声記録もできるようなりました。

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レンズ部です。マクロモードは初代には搭載されていません。

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背部。音声録音用のスイッチ、マイク端子などが追加されています。

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外観はほとんど変化はありません。

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再生アダプタはMAP-T2と初代と品番が異なります。初代のMAP-T1では動きません。

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本体スペックは
撮像素子タイプ:2/3型 MOS
撮像素子画素数:28万画素
記録画素数:ハイバンドビデオ仕様
撮影レンズ:15mm F2.8
露出調整:中央部重点測光 プログラムAE シャッター速度 1/60~1/500秒
ピント調節:固定焦点(1.5m~∞)
フラッシュ:GN11 (ISO100・m)
記録メディア:2インチフロッピーディスク
電源:専用バッテリーパックBP-C1 (6V)
※A10はクロ撮影モード,音声記録が追加

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カメラとしては以前紹介したQV10と同様にピントは固定焦点になっており,被写体から1.5m以上離れて撮影する必要があるなど制限がありました。

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本機はアナログ式の電子スチルカメラとして銀塩フィルムない利便性を持ち合わせたデバイスでしたが肝心の画質では銀塩フィルムは及ばず普及することなく終わってしまいました。

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このコンセプトはその後の「デジカメ」に通じる使い方とデジタル化の基礎を作った製品と言えるものでした。しかしこのコンセプトが日の目を見るのにはQV-10(1995年)の登場まで10年近くかかってしまうものでした。

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