ビネガーシンドロームの考察

その他

PC液晶の偏光板の変性がもたらす表面劣化

DSC09002.JPG


発症するとPCの液晶部分が変色(溶けたような状態)や酢酸臭を発生します。
これは特定の条件下に液晶部の偏光板フィルムが加水分解が進行が原因のようです。正確には偏光板をコーティングしているフィルムの劣化が進み、液晶表示が見えなく(見えにくく)なる現象。コーティングフィルムの素材が原因なのか同じパネルでも発症にバラツキがあるので不明です。

DSC08826.JPG

我が家でもVAIO(C1,Z505,R505)やPC-9801(NE)など6台ぐらいが発症。
大事に保管しておいて発症してしまったPCは見るに堪えず非常にストレスでした。保管状態は他のPCと同じ環境ですが個体差(パネル差)なのかは原因は私にははっきり分かりません。

DSC09006.JPG

解決方法は液晶パネルに貼られている偏光シートを張り替えればパネル自身の障害ではないので解決します。
しかしながら液晶パネルまで分解する手間と強力に貼られている偏光シートの剥がしと新たな偏光シートの装着にかなり時間が想定されるためいままで躊躇していました。
今回気合いを入れてビネガーシンドロームを発症しているVAIOノート5台を中心にパネルを取り外して偏光板フィルムを剥がして張り替えることにしました。

DSC09002.JPG

VAIO 初代C1、C1R、XE編

DSC09000.JPG

この4台全てこのような状態。液晶部の表面の偏光板フィルムを液晶ガラス部からカッターで変性したフィルムを剥がし、洗浄して新しい偏光板フィルムに張り替える作業をします。
どの固体もなかり進んで酷い状態です。

DSC09008.JPG

本体自体は起動しますがこのよう状態でまともに表示されません。

DSC09011.JPG

用意した物は偏光フィルム BSP250(250×250)粘着なし、カッター、有機溶媒(アセトン、ベンジン)、超強力粘着剤はがしスプレー(ホームセンターにあったので買ってみました。)、消毒用エタノール(本当は無水アルコールがいいですが丁度きらしていました。)、プラスチックベラ。このホームセンターで購入したテープ接着はがし剤が意外と良くて、リスクの高い有機溶媒使わなくても効果がありました。

DSC09043.JPG

偏光板フィルムは東急ハンズで売られているものを通販で購入。接着剤なしがいいです。

DSC09048.JPG
DSC09050.JPG

VAIO PCG-C1XG、XE (Sony) です。裏側のネジを全て外し、キーボードを外していきます。

DSC09012.JPG

2本のフレキシブルケーブルを慎重に外します。気をつけないと端子部分が剥がれてしまうとデバイスを認識しなくなります。

DSC09013.JPG

キーボードが外れました。上部カバーを外すためにもう1本フレキシブルケーブルを外します。

DSC09015.JPG
DSC09016.JPG

ヒンジ部のカバーもマイナスの精密ドライバー使ってゆっくりと外します。左側のヒンジのネジも外します。

DSC09017.JPG
DSC09018.JPG

上部のカバーが外れます。

DSC09020.JPG

液晶部のコネクターを外します。

DSC09021.JPG

右ヒンジ部のネジを外します。背部も同様に

DSC09022.JPG
DSC09023.JPG

液晶部が剥がれました。

DSC09024.JPG

液晶部のゴムカバー4カ所を外します。

DSC09025.JPG

ネジが見えるの外すとカバーが取れます。

DSC09028.JPG
DSC09030.JPG

ここからが本番です。マグネシウム合金のカバーから液晶部をとります。

DSC09031.JPG

カッターを使って劣化した偏光板フィルムを剥がしていきます。

DSC09032.JPG

コツを掴むとスムーズに剥がれていきますがそれまではかなりの時間と”力”と”根気”が必要です。

DSC09033.JPG

C1のパネルはしっかりとのり付けされています。

DSC09035.JPG

8.9inchのパネルからフィルムを剥がすのに最初は20分位かかりました。

DSC09038.JPG

フィルムが剥がれた状態。まだ糊がしっかりと付いています。

DSC09040.JPG

アルコールを噴霧してましたがあまり効果なし。

DSC09041.JPG

ホームセンターで購入した超強力粘着剤はがしスプレーを噴霧してプラスチックのヘラでかき取るのが一番効率がいいです。

DSC09043.JPG

このような感じで付着しているのりを取り除いていきます。最初、部屋で作業しましたが失敗でした。マスクしていましたがかなり溶媒臭がひどく外で作業することをお勧めします。

DSC09045.JPG

15分位でのりを取り除きました。いい感じです。

DSC09047.JPG

いったん液晶部を本体に繋いでみます。

DSC09052.JPG

偏光板フィルムが無い状態で電源を入れ起動させるとこのような状態になります。

DSC09053.JPG
DSC09054.JPG

この液晶部に東急ハンズで購入した偏光板フィルムを乗せてみるとこのようになります。

DSC09056.JPG

偏光板フィルムは角度が重要で基本45度で微調整して合わせます。

DSC09058.JPG

型取りして若干大きめにして切り取ります。

DSC09059.JPG

接着のりがないタイプなので薄型の両面テープで固定します。

DSC09061.JPG

最後は液晶部をカバーに装着して完成です。分解からのりを剥がして組み立てまで1時間30分ほどかかりました。

DSC09062.JPG

次は初代PCG-C1S (Sony) 1998年に着手。

DSC09063.JPG

C1Sのほうが状態が悪い。かなり酷い。

DSC09065.JPG

初代も背部のネジを全て外します。

DSC09066.JPG

キーボードが現れ、フレキシブルケーブル2本外します。

DSC09067.JPG

液晶部とのコネクターがまた外れにくい。

DSC09069.JPG
DSC09070.JPG

本体と液晶部が分離できます。

DSC09072.JPG

4カ所のゴムカバーを外してネジも外します。

DSC09074.JPG
DSC09076.JPG

液晶部背部のケーブルを慎重に外します。

DSC09077.JPG

液晶部だけになります。

DSC09079.JPG

カッターを使って根気よく剥がしていきます。慣れていくと20分位で剥がれます。

DSC09080.JPG

のりの除去は外で行ったほうが体にいいです。

DSC09082.JPG

完全にのりを取り除いていきます。

DSC09083.JPG

結構な量です。

DSC09085.JPG

全て取り除ききれいになった液晶部。

DSC09086.JPG
DSC09087.JPG

背部のケーブルを慎重に元に戻します。

DSC09089.JPG

仮止めして本体に接続します。

DSC09091.JPG

電源を入れて起動させた状態。

DSC09092.JPG

本機も同様に偏光板フィルムの角度を調整します。

DSC09094.JPG
DSC09095.JPG

角度によってかなり見え方(コントラスト)が異なります。

DSC09097.JPG

角度調整し型取りして貼り付けた状態です。

DSC09098.JPG

あとは元に戻します。初期型は経年劣化によりコネクターのプラスチック部のかけも発生するの取り扱いに注意が必要です。

DSC09101.JPG
DSC09102.JPG

本体に組戻してキーボードを装着して完成です。

DSC09103.JPG
DSC09104.JPG

起動させてみました。いい感じです。

DSC09106.JPG

この日は3台作業しましたが一番手間がかかるのが偏光板フィルムの剥がしです。かなり”力”を要するので後半が軍手して作業しました。

DSC09110.JPG
DSC09111.JPG

慣れてくるとのりもきれいに剥がれていきます。このくらいの状態だとスプレーかけてのりを剥がすの楽です。

DSC09113.JPG
DSC09114.JPG

完成した状態です。

DSC09125.JPG

偏光板フィルムが光沢タイプなので若干オリジナルとは異なります。ノングレア処理したものがあればいいのですが。

DSC09126.JPG

3台作業すると3台目は1時間程度まで短縮できました。

DSC09135.JPG

諦めていたPCが復活するのはいいものです。

DSC09137.JPG

次にR505シリーズです。このシリーズも3台ありますがそのうち2台が発症しています。(偏光板フィルムの貼り付けはC1と同じなので省略します。)

DSC07433.JPG

パネルサイズが大きい分なかり醜い状態です。

DSC07434.JPG

R505は背部のネジを全て外していきます。

DSC07412.JPG

キーボードとスライドパットのフレキシブルケーブルを慎重に外していきます。

DSC07413.JPG

特にスライドパットのケーブルは端子を傷つけやすいので注意。剥がれてしまうとパットが認識しなくなります。

DSC07414.JPG

メモリ右上のフラットケーブルも外します。

DSC07416.JPG

ヒンジ部のプラスチックカバーを外します。

DSC07418.JPG

次に両脇のカバーをプラスチックのツメを折らないように慎重に外していきます。

DSC07420.JPG
DSC07421.JPG

両脇のカバーが外れると全体を覆っている上部のカバーも外れます。

DSC07423.JPG

LCDパネルのコネクター部を外します。

DSC07424.JPG

ヒンジ部のネジを外すとパネルが外れます。

DSC07427.JPG

ここまでバラすとパネルを交換できます。

DSC07428.JPG

C1同様にカッターで偏光板フィルムを剥がしていきます。C1ほど吸着していませんが面積が多いので結構かかります。

DSC07447.JPG

偏光板フィルムが剥がれた状態。まだガラスパネル上にのりが残っているので除きます。7449

DSC07449.JPG

のりをきれいに拭き取った状態。

DSC07451.JPG

あとは偏光板フィルムは90度位で一番発色が良い角度で貼り付けて元に戻して完成。

DSC07444.JPG

コスト的には偏光板フィルムが1,000円前後で超強力粘着剤はがしスプレーが800円、カッターとプラスチックヘラは100円なのでそれほど費用はかかりません。根気があればできるのでビネガーシンドロームに嫌気を感じる方はトライしてみてください。

DSC09119.JPGdiv>

コメント