RS-DC10 (Pasonic) 1992年

オーディオ機器

RS-DC10 (Pasonic) 1992年 標準価格135,000円
DCC(Digital Compact Cassette)デッキ。

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DCCとアナログカセットの再生が可能なデッキ。

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MDと同様にコンパクトなメディアでCDと同等の高音質を実現させるために作られた規格で、従来のアナログテープのベースにPASC形式(PEG-1/2 Audio Layer-1)で圧縮したデータをテープに記録する方式。

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テープによるデジタル録音は既にDAT(Digital Audio Tape)が市場に出ており、DATが非圧縮だったのに対しDCCは1/4まで音声データを圧縮したため音質的にはDATにおよばなかった。当時はまだ携帯用やカーオーディオにはアナログテープが主流だったため互換性を重視した規格でしたが予想以上に普及はしませんでした。

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アナログテープと同じ形CDに迫る高音質を実現するため、DCCでは録音/再生の符号化方式にPASCを採用し原音から人の耳に聞こえない領域や他の音に隠れてしまう領域を排除した可聴信号のみを記録することで、少ない情報量での高音質化を図っています。

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メカニズム部には、半導体技術を活かした20チャンネル固定薄膜ヘッドを採用し、ヘッドは、デジタル録音用8チャンネル、デジタル再生用8チャンネル、制御信号録音用1チャンネル、制御信号再生用1チャンネル、アナログ再生用2ESチャンネルで構成されており、高音質のデジタル録音/再生、アナログ再生を可能にしています。また、ヘッドの回転によってオートリバースにも対応しています。(意外と高速です。)

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メカ的はおもしろい構造していますが、機械的なレスポンスは高級オーディオというよりも当時のラジカセに近い感じで再生時や停止時に「ガチャン」っていう音が出るのには驚かされます。10万円以上でこの質感は少し残念です。

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表示部分はテキストモードを搭載しており、ミュージックソフトテープのアルバムタイトルやアーティスト名、曲名をFLディスプレイ上に表示できます。表示できる文字種はアルファベットと数字で、最大12文字まで表示できます。

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背部はアナログ入出力とサンプリング周波数自動対応の同軸と光のデジタル入出力端子を搭載しています。普段もアナログ出力は使わず光出力を使っていますがアナログ再生時も音声が出力されます。

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サーチが可能なトラックナンバーサーチが搭載されていますが、CDやMDのランダムアクセスにはかないませんでした。

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DCCのテープはA面/B面が外観上はありませんが実際には両面存在しオートリーバースで切り替わります。つまり途中でリーバースするので音が切れてしまいます。

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本体スペックは
型式 DCCデッキ
DCC再生周波数 10Hz~20kHz ±0.2dB(fs=44.1kHz)
標本化周波数 32kHz、44.1kHz、48kHz(再生/デジタル入力)
44.1kHz(アナログ入力)
全高調波歪率 0.003%以下(再生)
0.005%以下(録音再生)
ダイナミックレンジ 95dB以上(再生)

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92dB以上(録音再生)
S/N比 98dB以上(再生)
92dB以上(録音再生)
チャンネルセパレーション 95dB以上(再生)
80dB以上(録音再生)
ワウフラッター 測定限界以下
テープ速度 4.76cm/s
電源 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 30W
外形寸法 幅481×高さ153×奥行341mm
重量 9.6kg
付属 ワイヤレスリモコン

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一応ドルビーB/Cを装備してアナログカセット再生機能をサポートしていますが、本機であえてアナログテープを聴くことはなかったです。以前紹介したTC-KA3ESやTC-K555ESAのほうが確実に再現性が高いと思います。

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音質的には現在聞くとたしかにアナログカセットよりも当然良いわけですが、DAT(DTC-59ES)やMD(MDS-JA30ES)と比較するとやはり物足りない感じがします。

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当時なぜこのRS-DC10を買ったのかと考えさせられますがアナログテープと互換性があり、デジタル録音が出来て、当時はメディアがMDより安かった点だったような気がします。DCCは従来のカセットとの互換を売りにしていましたがある意味その互換が足かせとなり普及しなかったと思います。

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本機は規格としては普及しなかったもので、マシン自体もなかなか見ることのなくなったハードウェアです。実際にはパナソニックとフィリップス、マランツ、ビクターのみハードを発売し、なかなか実機を見る機会がありませんが貴重な?めずらしいマシンになってしまったのが残念です。

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